『ポケモン』ダイパリメイクが50分以下でクリアされる。シロナ戦素通り


ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール(以下、ポケモンBDSP)』のスピードラン(RTA)が目覚ましい成果を見せている。発売から約1週間ほどで、50分を切るクリアタイムが叩き出されたのだ。
 

 
『ポケモンBDSP』は、2006年にニンテンドーDS向けに発売されたRPG『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』のリメイク作だ。本作はオリジナル版のテイストを保ちつつ、Nintendo Switch向けに各要素を刷新。2D描画だったオリジナル版に対して3Dグラフィックになるなど、大きな変化も加えられている。そして、本作についてはバグの多さに関しても取り沙汰されている。今月11月19日の発売から現在まで、多数の奇妙な挙動がプレイヤーたちから報告されているのだ(関連記事)。こうした現象は、通常のプレイヤーにとっては懸念の種。しかし、あらゆる手段でゲームを駆け抜けるスピードラン走者にとっては、絶好のRTAの場となっているようだ。

発売から約1週間を過ぎた現在、『ポケモンBDSP』のクリアタイムは早くも1時間を切っているのだ。日本時間11月26日には、海外スピードラン走者のWerster氏がクリアタイム50分36秒をマーク。さらには同日深夜に、PulseEffects氏が50分の壁を破り49分41秒のタイムを叩き出した。いずれの記録もAny%(バグ利用あり)での記録だ。走者たちはバグをふんだんに利用し、想像を絶するプレイでクリア目標となる殿堂入りまで辿り着いている。
 

 
今回のスピードランにて利用されているテクニックは多彩だ。しかし、最も印象的なのはチャンピオンであるシロナの扱いだろう。本来であれば、クライマックスとして殿堂入り目前に立ちはだかるチャンピオン。しかし、前述の両走者とも華麗にこれを回避しているのだ。本来であれば、チャンピオンと対峙するシーンではカットシーンが入り移動操作などは不可能になる。しかし、メニュー画面を出しっぱなしにする「Menu Storage」と呼ばれるテクニックを応用することで移動が可能になってしまうのだ。主人公が昇降機に乗り、むしよけスプレーの効果が切れると戦闘せず殿堂へ。チャンピオンを虫扱いである。

ほかにも、両走者は陸上での「なみのり」やOoB(壁抜け)、ピッピにんぎょうを使ったバトルスキップなどあらゆる手段を駆使してゲームを駆け抜けている。PulseEffects氏は、上述の動画の説明欄にて「このゲームは壊れている」とコメント。また、Werster氏も同様の見解を示している。しかしながら、両者の動画やコメントからは、バグに対する不満は見受けられない。本作に指摘されるバグの多さが、ある意味でRTAにとっては絶好の環境なのだろう。

Werster氏は自身のYouTubeチャンネルにて、各種バグ利用テクニックの解説を公開している。また、同氏は50分36秒を記録した動画にて「今回のスピードランは完璧から程遠い」とコメントしている。つまり、まだ大幅なタイム短縮の可能性があるのだ。また、PulseEffects氏は「BGMの音量をゼロにすることで、レベルアップやバッジ獲得時などのジングルが省略され、各種表示が高速化する」との挙動を報告している。本作のスピードランは「BGMあり」「BGMなし」でカテゴリー分けされる可能性もありそうだ。

なお、海外スピードラン統計サイトSpeedrun.comでは、現在『ポケモンBDSP』カテゴリーが準備中だ。同カテゴリーは現地時間11月29日に開始予定。今回紹介したような猛者たちが、リーダーボード上で競い合うのを待ちかねている。開幕後の熾烈な争いが楽しみだ。

『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』は、Nintendo Switch向けに現在発売中。