国内のサークルである青エビ研究所は11月23日、『バイナリ・シンドローム』の体験版をBOOTHにて公開した。体験版は無料でダウンロード可能になっており、本作の雰囲気やゲームシステムが確認できる。また有料販売されていた体験版+αバージョンのデータについては、順次アップロードされていくそうだ。
『バイナリ・シンドローム』は、アンドロイドの病をカウンセリングで治療する、コマンドクリックADVである。本作の舞台となる21XX年の未来では、アンドロイドが広く活用されるようになっていた。しかし近年になって、アンドロイドが前兆なく再起不能になる不具合が発覚。バイナリ・シンドロームには、不可解な重量の増加とコア部分のショートといった特徴は見られるものの、現段階では対処方法がわかっておらず、社会問題に発展しつつあった。
本作の主人公ユイは、アンドロイドに育てられた過去を持つカウンセラーだ。ユイは最先端の研究施設で働く中、アンドロイドにもカウンセリングが必要だと訴えるが、誰からも賛同を得られない日々を過ごしていた。そんなある日、ユイは新たな研究チームへ配属。心と科学が交差する未来で、カウンセリングを通じて21gの謎が明かされていく。なお21gとは、人間の魂の重さとも言われている重量である。
ユイは、患者との対話や観察などを通してカウンセリングをおこなう。具体的には、プレイヤーは画面右側に並んでいるコマンドをクリック。LOOKでは周囲の観察、TALKでは相手との会話など、コマンドによって治療を進める。患者との対話が上手くいけば、患者から信頼が得られたり、カルテの項目が開放されたりといった変化があるようだ。カウンセリング以外にも、コマンドを使ったADVパートとノベルパートによって物語が進行していく。また今回公開された体験版には、本作の序盤と思われる内容が収録されている。公称プレイ時間は、10分から20分程度。ユイを取り巻く世界やアンドロイドたちの現状の一端が、PC-98リスペクトの手書きグラフィックと共に描かれている。
本作を制作している青エビ研究所は、tyap氏によるサークル。過去作としては、近未来を舞台とした『L0ST M@IL』と『廃品回送』の2作が、フリーゲームとして公開されている。pixivFANBOXの記事によると、今作では同氏にとって思い入れの強い要素があることなどから、有料作品としての制作を決定。クオリティについて、同氏は「これまでの2作よりも丁寧で、確実に良い作品を作っていると言える」と自信を覗かせている。また同じくpixivFANBOX内の記事によると、同氏は実機のPC-98には触れたことがないという。しかし、インターネット上でPC-98のゲーム画面を見た際にときめいたため、本作ではPC-98をリスペクトしたグラフィックやBGMが採用されているようだ。
『バイナリ・シンドローム』は、2022年にPC(BOOTH)向けにリリース予定。Steamでの配信も検討されている。また体験版は、BOOTHにて無料公開中だ。