Riot Gamesは11月21日、コミュニティイベント「アンダーシティーナイト」を開催。このなかで、現在開発中の対戦格闘ゲーム『Project L』(コードネーム)の続報を公開した。
本作は、『League of Legends』の世界観のもと、同作のチャンピオンたちが闘う対戦格闘ゲームだ。Riot Gamesが2016年に買収した、『Rising Thunder』などで知られるデベロッパーRadiant Entertainmentが開発を担当。本作は、2019年に開催された格闘ゲームイベントEVOや、同年のRiot Gamesのイベントにて制作中であることが報告されていた(関連記事)。ちなみに、今回続報を届けた同スタジオの設立者兄弟Tom Cannon・Tony Cannon両氏は、EVOの共同創設者でもある。
『Project L』は、格闘ゲームコミュニティに何年も、あるいは何十年も楽しんでもらえる超高品質な作品を目指し、じっくり時間をかけて開発中だという。現在もまだ研究開発段階にあるものの、一定の成果をみることができたそうだ。今回のイベントに合わせてバーティカルスライス(部分的に完成度を高めて切り出した評価用ビルド)が制作され、そのゲームプレイ映像とともにCannon兄弟が本作の特徴を解説している。
まず、本作はタッグ制の2D対戦格闘ゲームとなる。プレイヤーは2人のチャンピオンを選択して闘うこととなり、チームビルドや対戦中のキャラクター切り替えなどの戦略が重要になるそうだ。チームメイトを一時的に呼び出すアシスト攻撃も可能。ベースとなる格闘部分については、ハイペースなゲームプレイを採用し、強固な基本システムを用意しながら、プレイヤーによる創造性を発揮できる余地も残したいとのこと。
操作については、簡単にプレイを始められる手軽さと同時に、マスターするにはやり込みが必要になる奥深さも追求。どのスキルレベルにあるプレイヤーも楽しさを見出すことができるだろうとしている。映像では、ダリウスの操作方法の一部を紹介。技名は原作を踏襲していることがうかがえ、たとえば「捕縛」では相手を引き寄せる効果も再現しているようだ。また、十字キーとの組み合わせにて性能が変化したり、さらなるコンボに繋げられることが分かる。
チャンピオンのキャラクターモデルは3Dで制作されるが、輪郭を強調したアニメ調のビジュアルを採用。2019年当時からアートスタイルは大きく変わった。開発においては、各チャンピオンの『League of Legends』でのアクションを再現しつつ、格闘ゲームに最適化させているとのこと。
最適化の一例として、エコーの技が紹介されている。エコーは時を捻じ曲げるスキルが特徴のチャンピオン。本作では「クロノストライク」という剣でのスラッシュがあり、発動地点に残像を残す。そして、発動から数秒間のあいだは、いつでもその残像の時点に巻き戻ることが可能だ。映像では、この技を駆使したコンボが披露されている。このほか、敵を数秒間スローにする飛び道具「タイムワインダー」も登場。直接相手にヒットさせるだけでなく、ステージ内に設置したり、そこから剣で打ち飛ばしたりすることもできるようだ。
本作のオンライン対戦に採用するネットコードについても説明された。本作では、オフラインプレイ時と変わらないような、高レスポンスなオンラインプレイを目指しているとし、ロールバック方式のネットコードを採用する。他作品でも定評のある方式だ。ちなみに、Tony Cannon氏はロールバック方式のネットコードを提供するミドルウェア「GGPO」の開発者でもある。
本作においては、『League of Legends』や『VALORANT』が採用する「RiotDirect」と組み合わせてプレイヤー間の最適な通信ルートを確立し、遅延をさらに低減させるとしている。また、対戦相手の通信環境によりラグやパケットロスが発生した場合、対戦相手はその影響を受けるが、もう片方のプレイヤーに影響は及ばないという。さらに、対戦途中でいわゆる“キレ落ち”をした場合、本作のネットコードはどちらのプレイヤーに勝利を与え、どちらにペナルティを与えるかまで判断できるそうだ。
本作の開発状況については、ゲームプレイのコア要素や操作方法、ビジュアルの方向性など、ゲームとして成立させるための要素がほぼ固まってきた段階とのこと。今後は、参戦チャンピオン全員の開発やステージのデザイン、メニューなどのUIデザイン、ランクシステムの制作などをおこなっていくとし、Riot Gamesはさらなるスタッフを募集していることを明かした。
『Project L』の対応プラットフォームは発売時期は未定。開発を率いるTom Cannon氏は、今年や2022年に発売されることはないだろうと述べており、完成まで気長に待った方が良さそうだ。