『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』PC版配信再開。一時取り下げの原因は、かつて物議醸した“Hot Coffee”関連か

Rockstar Gamesは11月15日、『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』のPC版の再配信を開始したと発表した。一時取り下げの原因については、かつて物議醸した“Hot Coffee”関連ではないかと推測されている。

Rockstar Gamesは11月15日、『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』のPC版の再配信を開始したと発表した。本作は11月12日にPCおよび各コンソール向けにリリースされたが、PC版の配信プラットフォームであるRockstar Games Launcherが同日中にメンテナンス入り。翌日には復旧したものの、本作だけ購入やプレイができない状態が続いていた。

同社は、本作のPC版に意図せず収録してしまったファイルを削除する作業をおこなっていると説明。具体的にどういったファイルが含まれていたのかは公表されていないが、既に購入していたユーザーによる解析によると、いわゆる“Hot Coffee”にまつわるファイルが存在していたようだ。海外メディアVGCなどが報じている。


Hot Coffeeとは、本作の収録タイトルのひとつ『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス:決定版』のオリジナル版向けのModだ。同作(海外版)では、ガールフレンドとデートを重ねることで、彼女と性行為をおこなうことが可能。プレイヤーはふたりの情事を、外から声や音だけでうかがうかたちとなる。この性行為シーンは、もともとミニゲームとして開発されたものの結果的にボツになり、上述したようなかたちに調整されたとみられている。

しかし、当初のバージョンではミニゲームのデータ自体は残されており、同ミニゲームを利用可能にすべく開発されたModがHot Coffeeである。すなわち同Modを導入することで、プレイヤーは性行為を直接見ることができた。あくまでModによる改変の結果ではあるが、当時大きな問題に発展。一部地域ではレーティングが変更され販売中止になり、米国ではレーティングのあり方について連邦取引委員会に対し調査請求が出された。主導したのは、当時上院議員だったヒラリー・クリントン氏である。ちなみに続編『GTA4』には、同氏にそっくりの顔をもつ自由の女神風の像が登場し、本件への皮肉ではないかと注目された。

さらに集団訴訟も提起。最終的に和解したが、Rockstar Gamesの親会社Take-Two Interactiveは和解金として約2000万ドルを支払い、また米国証券取引委員会から科された罰金など、本件によって合わせて1億6300万ドル(約190億円・当時)を失ったとされる。その後Rockstar Gamesは、問題のミニゲームのデータを削除するなどして再販売。こうした対応により、PS2日本語版の発売が遅れたことも当時話題となった。

https://twitter.com/ThisPurpleCat/status/1459855803989606408


TwitterユーザーのKamui氏の解析によると、今回リリースされた『GTA:SA:決定版』のPC版には、かつて問題となった性行為ミニゲームのコードすべてが含まれていたという。ほかにも同様の指摘をするユーザーがみられる。実際にはプレイできないよう無効化されているようだ。またKamui氏は、ガールフレンドのキャラクターモデルや、ミニゲーム用のアニメーションは存在しないとコメント。ただ、復元することは可能だろうとも述べている。

本作ではこのほか、オリジナル版に収録されていた一部楽曲がライセンス切れにより差し替えられているが、こちらもオリジナルの楽曲データが残されたままになっていると、ユーザーによる解析により明らかに。また、各作品からカットされたコンテンツについての開発者のコメントも、ソースコードから発掘されている。

上述の開発者コメントはともかく、性行為ミニゲームや楽曲データについては、通常のゲームプレイにおいて利用することはできないとしても、かつてModによって大きな問題に発展したこともあり、そのままゲーム内に残しておくわけにはいかないだろう。Rockstar Gamesがいう“意図せず収録されたファイル”が本当にこれらに該当するのかどうかは、ユーザーによる今後の解析によって明らかになりそうだ。


発売日から数日遅れてようやく購入とプレイが可能になったPC版『GTAトリロジー:決定版』であるが、この間には返金を求めるユーザーが続出。さらに、コンソール版を含む本作のクオリティについて、不満を述べるユーザーもみられる。これまでには、たとえばバグにより超高速で走行する一般車両や、不自然な雨の表現などが指摘。また、オリジナル版に存在した霧が取り払われた点についても、おそらく技術的な進歩により遠景を描画できるようになった結果だと思われるが、味気なさを感じるユーザーがいるようだ(関連記事)。

こうしたさまざまな問題を受けて、レビュー集積サイトMetacriticでの本作のユーザーレビュー欄では、低評価が殺到するいわゆるレビュー爆撃が発生している。PC版に対しては現在約2700件のレビューが投稿され、平均評価はわずか0.5(10点満点)。また各コンソール版においても、1点を下回る評価となっている。“決定版”にふさわしくないクオリティであることが、評価を大きく下げている模様である。


こうした批判の声を受けてか、Rockstar Gamesは本作の全体的なパフォーマンスについて、今後アップデートで改善していくとコメントしている。先述した霧など、ディレクションに関する部分にも手を入れるのかどうかは不明だが、ファンが納得できるかたちに改善され、評価を持ち直すことを期待したい。

『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』は、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch向けに販売中だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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