海賊版防止ツール採用のゲームにて、大規模障害発生。起動不可となったのはDRMの影響か
海賊版防止ツールの不具合が関係してか、複数の人気タイトルがこの週末にプレイできなくなっていたようだ。DRM技術「Denuvo Anti-Tamper」採用タイトルについて、ユーザーによる不具合報告が海外掲示板やSNS上で相次いだ。ゲームが起動不能になったとの報告は、海外を中心に複数タイトルにまたがり日本時間11月7日深夜から寄せられた。原因はDenuvo側のネットワーク障害と見られる。現在は復旧しているようだ。
今回、不具合が報告されたタイトルは『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』『プラネット ズー』『Back 4 Blood』『バイオハザード ヴィレッジ』『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』など。ほかにも、複数タイトルについて不具合の報告が認められた。本日未明にはゲームが起動可能になったとの報告も見られ、現在は復旧している様子。報告があった作品に共通するのは、いずれの作品も不正コピー防止の目的で「Denuvo Anti-Tamper(以下、Denuvo)」を採用している点だ。
Denuvoは、名を同じくするDenuvo Software Solutions GmbHが手がけるコピーガード技術だ。デバッグ作業や逆行分析、実行ファイルの改ざんを防ぐことを目的とし、海賊版の作成などに対して強固なセキュリティを誇ると宣伝されている。反面、そのセキュリティ構造が関連してか、ゲームのパフォーマンスに影響を与えるとの指摘もなされ、ゲームへの実装を忌避するユーザーも存在する。そのため、先ごろにはパフォーマンス確保のためにDenuvoの実装を見送るデベロッパーも現れた(関連記事)。Denuvoをどのようにゲームに実装するかによるものの、インターネットを介した認証をおこなう仕組みもある。そのため、認証サーバーの停止や障害により、ゲームの動作に影響が出る懸念も出ているわけだ。大型タイトルなどにしばしば採用されながらも、ユーザーからは賛否あるツールなのだ。
今回の障害については、「Denuvo側の障害による影響」である可能性が高い。まず、今回報告されたゲームは、ほぼすべてがDenuvo採用タイトル。そして一部エラーメッセージには、「codefusion.technology」ドメインへの誘導テキストが含まれていた。このドメインは、Denuvoがサポートに利用としていると見られるURL。また、エラーメッセージの内容には「サーバーに接続できない」との旨の記述がある。以上の点から、ゲームが起動できなくなる不具合は、Denuvo側のサーバーやネットワークに何らかの障害が発生したためだと考えられる。
前述の通り、パフォーマンス面や認証の問題で、Denuvoに反感をもつユーザーは多い。そして、今回の一件で「DRMの障害によって、ゲームが起動できなくなるリスク」が現実味を帯びた。海外掲示板RedditやResetEraでは、今回の大規模障害に関するスレッドが立てられユーザーたちが声を寄せている。内容としては、実際に不具合に出くわしたとの証言のほか、DRMに対する不満を吐露するユーザーの姿も。一方で「責めるべきは海賊版とそのユーザーだ」との指摘も投じられている。
海賊版行為は許されざる犯罪だ。たとえ懸念があったとしても、作品を守るコピーガードの導入はゲームメーカーとして当然の正当防衛だといえる。一方で、DRMにまつわる懸念が現実となることで、ユーザーが懸念や不満の色を濃くするのも自然。今回の一件がDenuvoによるものかは定かではないものの、こうしたメーカーと海賊版の闘争に巻き込まれる消費者が、一番の被害者かもしれない。
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