米任天堂に訴えられた「クッパ」の名を持つ男、任天堂に対し約5億円支払いへ。司法取引に応じ罪を認める

米国任天堂による訴訟の被告となっている、ハッカーグループTeam Xecuterのリーダー格のひとりGary Bowserが、司法取引に応じて自らの罪を認めていたことが明らかになった。

米国任天堂による訴訟の被告となっている、ハッカーグループTeam Xecuterのリーダー格のひとりGary Bowserが、司法取引に応じて自らの罪を認めていたことが明らかになった。海外メディアTorrentFreakなどが報じている。

Team Xecuterは、Nintendo Switch本体のハックを可能にするSX ProやSX Core、SX Liteといった製品を手がけるハッカーグループ。これらの製品は、Nintendo Switch本体のセキュリティを迂回し、独自OSであるSX OSをインストール・起動させるためのものであり、海賊版ゲームの起動をも可能にする。同種製品のなかではかなりポピュラーな存在だったとされ、米国任天堂は今年4月、Gary Bowserをはじめとするメンバーを相手取り、著作権法違反など訴え裁判を起こしていた。

ちなみに、同被告のセカンドネームBowserが、『スーパーマリオ』シリーズに登場するクッパの英語名と同じだったことから、一部海外メディアが「任天堂がクッパを訴えた」と見出しを打ったことでも当時注目された(関連記事)。


Gary Bowserはカナダ出身の人物であり、昨年米国司法省によりシアトルの連邦地方裁判所にて起訴。当時Bowserはドミニカ共和国に潜伏していたが、逮捕され米国に移送された。その後、米国任天堂が訴えたわけだ。同被告はTeam Xecuterの運営面を担当し、関連ウェブサイトの管理や、消費者・販売代理店への製品の宣伝、広告収益の管理などをおこなっていたと、米国任天堂は主張。また過去には、GaryOPAというハンドル名にてハック情報サイトの運営にも携わり、第三者を装いTeam Xecuter製品のレビューをするなど、ステルスマーケティングをおこなっていたとも指摘されている。

司法省との裁判において、同被告は嫌疑について当初否定していたが、その後態度を変え、今年10月28日になって司法取引に応じた。Team Xecuterによる違法行為に関与し、著作権保護されたゲームの海賊版をプレイするための、先述したデバイスの開発・製造・販売をおこなったことを認めたという。さらに、任天堂側に対して450万ドル(約5億1000万円)を支払うことや、Team Xecuterの残りの資産を見つけるための助力を申し出ている。

ちなみに、公開された司法取引についての書面によると、Gary BowserはTeam Xecuterでの活動により月500〜1000ドル(約5万7000〜約11万円)を受け取り、さらに宣伝を通じて計32万ドル(約3600万円)を得ていたとされている。また、同被告は2013年6月から2020年9月まで活動していたとのこと。


この司法取引によって、検察側は余罪についての訴えを取り下げることに同意。担当判事は有罪を支持しているものの、減刑される可能性があるという。Gary Bowserが認めた2件の罪は、それぞれ最大5年の実刑にあたるそうで、最大10年間収監されることは免れることになるかもしれない。最終的な判決は、追って下されるとのこと。なお、同被告をめぐっては、先述したように米国任天堂が別に訴えを起こしている。今回同被告が罪を認めたことで、そちらの裁判にも何らかの進展がみられることになりそうだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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