『Apex Legends』の“ショットガンアモが変でプレイできない”と訴えるユーザーが出現し支持集める。背景には些細な違和感を楽しむミーム文化

 

『Apex Legends』海外コミュニティにて、ショットガンアモ(弾薬)の違和感を指摘する投稿が注目を集めている。普段あまり気にしない弾薬箱も、注目してみると矛盾した点があるようだ。同投稿が人気となった背景には、ゲーム内の些細な違和感を楽しむミーム文化があった。

今回注目を集めているのは、海外掲示板Redditの/r/apexlegendsにされた投稿だ。投稿者は「このゲームは文字通りプレイ不能だ」と題して、本作に登場するショットガンアモの画像を貼り付けている。「見えている弾の数と、実際に得られる弾数が合わない」という主張だ。画像では見た目上、弾薬箱のなかに15発の弾が収められている。ショットガンアモはひとつ8もしくは16発の給弾であるため、たしかに矛盾が生じる。同投稿は記事執筆現在で2万3000件以上のUpvote(高評価)を集め、コメント欄では多数のプレイヤーが反応。「7発は空砲なんだよ」「だから撃っても当たらないのか」などジョークを盛んに交わしあっている。

シューター作品において、弾薬アイテムはしばしば「アイコン化」される。わかりやすさを重視し、形状や色調などで瞬時に種類まで判別できるデザインに落とし込まれている場合が多いのだ。たとえば、『フォートナイト』では弾薬そのものがむき出しで浮いているようなデザインだ。極端な例では、『Quake 3 Arena』の弾薬は長方形の箱になっており、模様と色のデザインで弾薬の種類を伝えていた。今回の投稿は、ゲームのデザイン上の都合を目ざとく指摘したものだ。言われてみれば、ボセックボウ用のアローなどは見た目上はっきり4本セットであるにもかかわらず、拾得すると16本が手に入ってしまう。


そして実をいえば、前述の投稿タイトル「文字通りプレイ不能(Literally Unplayable)」というのはミームの一種だ。Redditにて同キーワードで検索をかけると、ごく些細ながら気になるゲーム実装の違和感やミスを指摘する投稿が立ち並ぶ。また、Redditには専用のサブ掲示板/r/literallyUnplayableまで存在する。つまり「文字通りプレイ不能」とは、ゲームプレイに支障のない些細な違和感をあげて「こんなことではプレイできない」と大げさに伝えるジョークなのだ。

『Apex Legends』関連の同ミーム投稿はほかにもある。まず、実装予定の新レジェンド「アッシュ」については、動画によって刺されている場所が違うという指摘がある。パスファインダーのオリジンを語る動画(3分47秒頃)では背後から右胸にかけて刺されていたアッシュが、先ごろ公開された動画(33秒頃)ではやや左胸寄りを刺されているのだ。投稿者は「物語上の矛盾だ」とし、早急な修正を訴えている。また、ワールズエッジの北東にぽつんと空中に浮かぶ謎の岩があるとの投稿も見られる。動画に収められた岩は本来地面にあるべきレイアウトになっており、物理的にも景観としても浮いている。どうしても気になってしまうのか、いずれの投稿者もゲームがプレイ不能であると主張している。


ほかのタイトルについても、目ざといユーザーによって多くの指摘がなされている。『Counter-Strike: Global Offensive』は「リロードの際に排出したマガジンをそのまま戻していた」という指摘がなされた。通常のゲーム描画設定では、リロードの際排出したマガジンが画面外に行くため、新しいマガジンを取り出したように見える。しかし描画設定を変更すると、弾を消費したマガジンをそのまま再利用している様子が明らかになるのだ。使用済みのマガジンを取り出して挿し直しても、当然まだ使用済み。ある種ユーザーを欺く行為ではあるものの、別のアセットを読み込むのはゲーム実装上のロスにあたるため、理にかなっている。設定されたリロード速度との兼ね合いもあるだろう。

『Satisfactory』では突起がある鉄板(縞鋼板)の模様が微妙にずれる、慚愧に堪えないミスにユーザーが悲鳴をあげた。パターン状に配置された美しい楕円突起の一部が、無残にも真っ二つにされたようにずれているのだ。テクスチャ関連のミスだろうか、整然としたパターンのなかに存在するだけに目立つ。同投稿にはユーザーからの(ジョークの)批判が多数寄せられており、違和感のあまりか「ちょっと吐いちゃった」と精神的ショックを伝える者もいる。

また、『マインクラフト』Bedrock版はホットバーのレイアウトになんとピクセル単位のズレがあるという由々しき事態も明らかに。筆者が至急精査したところ、この致命的な問題はJava版・Bedrock版ともに既に修正済みのようだ。現在はいずれのバージョンにおいても、1ピクセルのずれもない、美しく整列したUIで『マインクラフト』を楽しめる。ご安心いただきたい。


もちろん、本稿で紹介した投稿者たちは真剣に不満をもって「プレイ不能である」と訴えているわけではない。ゲーム内に変な部分を発見した時、些細なことでも誰かに伝えたくなる気持ちの発露だろう。また、ゲームプレイに影響しない“ボロ”を見つけると、「開発者もうっかりするのだ」と微笑ましい気持ちにもなる。ユーザーとしても、そうした違和感をシリアスに批判するのではなく、ジョークとして笑いに昇華させる意図が垣間見える。読者の皆様が口にするのをためらう些細なことも、コミュニティに共有すれば大きな楽しみとなるかもしれない。