人気サッカーゲーム『FIFA』のタイトル名変更検討は、“金と権利”が原因か。EAとFIFAの交渉難航を米紙が報じる

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先ごろ、タイトルの変更検討を発表したElectronic Arts(以下、EA)の人気サッカーゲームシリーズ『FIFA』。ベールに包まれた方針変更の背景には、本家FIFAである国際サッカー連盟とのライセンス交渉の難航があるようだ。The New York Timesが報じている。


『FIFA』シリーズは、1993年の『FIFA International Soccer』発売以降、長きにわたりファンに愛されてきたサッカーゲームシリーズだ。同シリーズ名である『FIFA』は、各大陸のサッカー連盟を束ねる国際サッカー連盟のこと。EAは、国際サッカー連盟FIFAとのライセンス契約のもとで『FIFA』をゲームタイトルに冠しているのだ。EAはFIFAのほかにも多数のライセンスパートナーとの契約のもと、実在チームや選手を作品に登場させている。プレイヤーが実際の試合で活躍しているチームや選手を利用できるリアリティも、同シリーズの魅力のひとつだ。

一方でEAは先ごろ、このブランドの看板ともいえる『FIFA』というタイトル変更の検討を発表していた(関連記事)。同発表では、「名称に関する契約についてFIFAと再検討を進める」「名称以外のライセンスや公式パートナーとは切り離した検討」とは説明されていたものの、変更に至った背景などは伝えられていなかった。そして今回、米一般紙The New York Timesの報により、『FIFA』名称変更の背景の一端が示唆された。同紙によれば、EAとFIFA間の契約交渉は、先ごろ“大きな壁”にぶつかっていたのだという。


The New York Timesによれば、交渉難航の原因となったのはFIFAが要求したライセンス契約料の値上げと、権利の範囲に関する意見の相反であるという。EAは、現在の10年契約が終了する来年のワールドカップに向けて、少なくとも2年にわたりFIFAとの交渉を進めていたとのこと。同紙が関係者の言葉として報じた内容によれば、契約更新にあたってFIFA側は現在EAから受け取っている契約料から2倍以上の値上げを要求したとのこと。その総額は4年を通じて10億米ドル(約1100億円)を超えるという。

また、FIFAはEAのライセンス権利を「ゲームでの使用」のみに留めたいとの意向を示していたそうだ。一方でEA側は、『FIFA』を使った幅広いコンテンツ展開をしたいとの意向をもっていたとのこと。具体的には、現実で実施された試合ハイライトのゲーム内再生やゲームを利用したトーナメント、NFTによるデジタルアイテムの販売などだ。権利を制限したいFIFAと、さらに裾野を広げたいEA。そして前述の契約料の問題もあり、EAの「FIFAの看板を外す」という方針に繋がったのだろう。


実際にEAがFIFAと袂を分かった場合、何が起こるのだろうか。今回の報を伝えたTariq Panja記者は、EAがFIFAとの契約で得ているのは名称とロゴの使用許諾およびワールドカップ関連権利のみであるため、ゲーム自体への影響は限定的だろうと分析している。また同記者は、FIFA会長ジャンニ・インファンティーノ氏が進めている改革について触れて、EAからの多額の契約料が途絶えることは改革計画に対しても打撃をもたらすだろうとの見解を示した。EAとしても『FIFA』シリーズではUltimate Teamなどを通じて多額の収益を得ており、契約がこじれることは本意ではないだろう。FIFAとの交渉が不調に終わった場合、『FIFA』シリーズはどのような名称になるのだろうか。また、名称変更のほかに影響があるかどうかも気になる点だ。なお、EAは今月初め、EUおよび英国にて「EA Sports F.C.」という商標を登録している。

『FIFA』シリーズ最新作『FIFA 22』はPC(Steam/Origin)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Stadia向けに現在配信中。本作が“最後の『FIFA』”となるのか、EAとFIFAの交渉の行方はいかに。

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