弊社アクティブゲーミングメディアのパブリッシングブランドPLAYISMとZA/UMは9月24日、『Disco Elysium – The Final Cut(ディスコ・エリジウム – ザ・ファイナルカット)』をNintendo Switchにて国内向けリリースすると発表した。2022年春リリース予定。
『ディスコ・エリジウム』は、2019年10月に発売されたミステリーRPGだ。まず、今まで国内展開していなかった本作の海外での評価について紹介したい。本作は発売後、英語圏を中心にメディアおよびユーザーから高い評価を受けている。本作のSteamでのユーザーレビューは記事執筆現在で3万7000件以上を数えており、うち94%が好意的な評価を下している。また、The Game Awards 2019では最多受賞作品となり、TIME誌が選ぶ「2010年代のベストビデオゲーム10選」のひとつに選出されるなどの輝かしい実績を誇る。海外ではいわば“傑作インディーゲーム”のひとつに数えられている作品であり、今回満を持しての日本国内展開となる。
『ディスコ・エリジウム』でプレイヤーは記憶喪失の中年刑事となり、相棒の捜査官と共に冷戦期東欧風の街で殺人事件の捜査にあたる。設定としてはスタンダードないわゆる“刑事モノ”の風情ながら、本作はややユニークな体験をプレイヤーに提供する。本作はテーブルトークRPGおよび、そのデジタル派生であるCRPGのシステムを踏襲している。登場人物との会話からアイテムに対するインタラクト、そして主人公自身の心中での逡巡にいたるまで、バラエティ豊かな選択肢が付随する。プレイヤーは選択による失敗と成功を繰り返し、プレイヤーごとにユニークな主人公のキャラクター性と物語を紡いでいくのだ。
本作の特徴のひとつが、情報量の多さだ。漫画やアニメなどで「天使と悪魔が両耳から囁く」などの演出を見た経験のある人は多いだろう。本作においては、論理的思考や共感力といった24種類のスキルが主人公の内なる声として、脳内で会議を始めるのだ。主人公のちょっとした考え事さえもテキストとして出力され、ユーモアと示唆に満ちたやりとりが発生する。主人公の脳の外の世界も徹底した作り込みがなされており、私達の現実同様に長い歴史と文化的背景を持つ、深みのある架空世界が描かれている。
『ディスコ・エリジウム』はテキストで多くを語るゲームであり、緻密な作り込みも相まって100万ワードを超えるテキスト量を誇る。そのため、他国語でプレイするにはハードルが高く、昨年2020年に開発元がおこなったローカライズ希望言語アンケートでは日本語が1万945票を集めていた。今回の日本語化は本作が気になっていた国内ゲーマーにとっては福音だろう。一方で気になるのは、政治や社会問題を絡めたブラックユーモアなど、単体でも翻訳難度が高いと思われるやりとりがテキストの多くを占める点だ。本作の根幹をなす多彩でハイセンスなテキストが、今回いかに日本語ローカライズされるのか興味深い。
『ディスコ・エリジウム – ザ・ファイナルカット』日本語版は2022年春、Nintendo Switch向けに発売予定。PC版の日本語対応にも期待したいところだ。
【UPDATE 2021/09/24 17:35】
PLAYISMはプレスリリースにて、『ディスコ・エリジウム – ザ・ファイナルカット』日本語版をPlayStation 4/PlayStation 5向けにもリリースすると発表した。また、PC(Steam)などほかのプラットフォームでも2022年春の発売と同タイミングで日本語が実装されるとのこと。