『原神』雷電将軍と北斗の仕様を理由として“提訴”を示唆するユーザーが出現。クローズドベータからの仕様変更が波紋を呼ぶ


miHoYoのオープンワールドRPG『原神』にて先頃、アップデートVer.2.1が配信された。同アップデートでは、新エリア開放や釣りシステム実装、「雷電将軍」を含む新キャラなどの要素が追加された。しかし、一部プレイヤーからは「雷電将軍」の性能についての不満が噴出し、海外ではmiHoYoへの訴訟を示唆するプレイヤーも出たようだ。Kotakuが報じている。


「一心浄土・雷電将軍」は9月1日に配信された『原神』新キャラクターだ。稲妻幕府の最高主宰として稲妻エリア全体を司る存在であり、実装前から多くのファンの注目と期待を受けてきた。同キャラクターは祈願、いわゆる「ガチャ」から入手できる。性能としては雷属性を持ち、主にサポート能力に長けた調整となっている。この雷電将軍は注目の的とあって、本来情報公開を禁じておりテスターとNDA(機密保持契約)を結んでおこなわれたベータテスト時点から、性能についての情報などがリークされていた。

今回一部プレイヤーに問題視されているのは、キャラクター「北斗」と雷電将軍の相性だ。北斗は雷電将軍と同じく雷属性を持っており、本作での必殺技にあたる元素爆発としてスキル「雷斫り」をもっている。同スキルは発動後15秒間、通常攻撃および重撃が敵にヒットすると稲妻による追加ダメージを与えるもので、防御スキルも兼ねている。また、強化状態によっては敵の間を稲妻が跳躍する性能も持ち、特に敵の群れに対して強力とされるスキルだ。本作においてはパーティー内で戦闘中のキャラクターチェンジが可能であり、 雷斫りの効果も時間内であれば別のキャラクターに引き継がれる。

一方で、雷電将軍は元素爆発として「奥義・夢想真説」をもっている。このスキルを発動すると、同キャラは胸元から取り出した刀によって戦う一種の強化モードに入る。今回一部プレイヤーから問題視されているのは、この強化モード中の通常攻撃および重撃が「元素爆発ダメージ」として扱われる点だ。上述の北斗の雷斫りは「通常攻撃および重撃のヒット」を追加ダメージ効果の発動条件としており、仕様上元素爆発ダメージでは発動しない。つまり、強化モード中の雷電将軍の攻撃には、強力な雷斫りの効果が乗らなくなってしまうのだ。


上述の仕様については、国内外のプレイヤーが残念な思いをフォーラムやSNS上で共有している様子がうかがえる。北斗については7月から8月にかけて開催されたイベント「雷痕を求めて」の報酬として、祈願を通さずして入手可能となっており、多くのプレイヤーが同キャラを手に入れたと見られる。同じ雷属性キャラクターとして北斗と雷電将軍の相性に期待をもっていたプレイヤーも多かったのだろう。雷電将軍は同時に実装された新キャラクター「九条裟羅」と合わせて初の雷属性もち追加キャラでもあり、本作コミュニティから“不遇”とされがちな雷属性の使い勝手を大きく向上させる旗手としての期待も寄せられていた。その分落胆したプレイヤーも多いようで、海外掲示板Redditの『原神』コミュニティ/r/Genshin_Impactでは、本作プレイヤーが元素爆発の仕様やmiHoYoによるスキル説明文のわかりづらさを批判する投稿をしており、大きな反響を集めている。

また、Kotakuの報道によれば、ベータテスト期間中には北斗の雷斫りの効果が雷電将軍の強化モード時の攻撃でも発動していたと見られる。つまり、正式実装時になって北斗と雷電将軍の元素爆発の仕様に変更がおこなわれたようなのだ。リーク情報や噂に頼り、北斗と雷電将軍の相性の良さに過度な期待を抱いていた一部プレイヤーたちは、雷電将軍正式実装とともに強い不満を示した。そして、miHoYoに対して訴訟を示唆し、仕様変更を迫ろうとするプレイヤーさえ現れたのだ。

雷電将軍の実装直後となる9月1日には、中国人プレイヤーによってmiHoYoの公式掲示板に抗議の投稿がなされている。内容は、北斗と雷電将軍の元素爆発の連携を復活させるか、もしくは雷電将軍を手に入れるのに使った原石(ゲーム内アイテム)を返せと要求するものだ。同投稿には中国における弁護士免許と訴訟を示唆する言葉も綴られており、「要求を飲まなければ訴訟する」と迫る意図が見て取れる。また、別の掲示板ではオンラインによる提訴手続きの完了画面と見られる画像を投稿するユーザーも現れた。いずれも、具体的にどういった法に基づいてmiHoYoを訴えるのかは定かではない。しかし、主張としては「北斗と雷電将軍の相性の良さの要であったクローズドテスト時の仕様を変更したのは、ユーザーの購買意欲を煽る“詐欺”である」という主旨のようだ。


雷電将軍と北斗の元素爆発にまつわる仕様については、少なくないプレイヤーが落胆の色を見せている。しかし、今回の一部プレイヤーによる訴訟を武器にした過激な抗議は、ファンによる要望や問題提起とは一線を画すものだ。そもそもゲームに公式に実装された時の仕様が、正式な仕様。リーク情報は非公式情報のひとつでしかない。非公式情報と正式実装時の仕様に差異があったとしても、miHoYoはなんら責任を問われる道理はないだろう。miHoYoが、雷電将軍にまつわる騒動をどう受け取り対処していくのか注視したい。