【UPDATE 2021/09/07 10:45】
本件についてShuka氏がストア側にコンタクトを取った結果、状況は解決へと向かっているようだ。ストアページには、イエスマンの「Alternate face」についてクレジット表記が追加されている。
【原文 2021/09/02 7:35 】
Bethesda Softworks(以下、Bethesda)公式グッズストアにて販売予定の『Fallout: New Vegas』関連フィギュアに、国内ユーザーの制作したファンアートが無断使用されている可能性が浮上した。現在真偽は不明ながら、ファンアートを描いたユーザーと制作元は協議中のようだ。
今回問題となっているのは、『Fallout: New Vegas』に登場するキャラクター「Yes Man」の公式フィギュアだ。ゲーム内におけるYes Manは、警備ロボットであるセキュリトロンの一種。イエスマンという名の通り「何でも言うことを聞く」ユニークな性格を持ち、張り付いたような笑顔が印象的なキャラクターだ。また、ルートによっては物語後半で重要な役割を果たすキャラのひとりでもある。
Yes Manのフィギュアは1000個の限定生産で、現在Bethesda公式グッズストアである「Official Bethesda Gear Store」にて115米ドル(約1万1651円)で予約受付中だ。フィギュアにはYes Manの表情バリエーションを印刷したシールが付属しており、ゲームではずっと笑顔で、ある意味“無表情”だったYes Manの表情を変化させられるようになっている。
問題なのは、このシールの図柄だ。国内ユーザーのShuka氏は9月1日、自身のTwitterアカウント上で同氏が過去に公開したファンアートと、シールの図柄が類似していることを指摘した。同氏はBethesdaの手がけた『The Elder Scrolls』シリーズの攻略情報やゲーム内書籍の翻訳を自身のサイトで公開しているほか、Bethesda関連作品のファンアートも多数描いている。相当のBethesdaファンといって差し支えないだろう。同氏によれば、2011年にDeviant Artで公開した「Yes Manの表情バリエーション」を描いたファンアートが、今回のYes Manフィギュア表情シールと似ているというのだ。
まず、Shuka氏によるファンアートは『Fallout: New Vegas』におけるYes Manの顔グラフィックを元に、いろいろな表情をとらせたものだ。左上のPoker-faced(無表情)の画像は原作におけるYes Manの顔と同一であり、ほかの表情は同氏が独自に編集や加筆したものだと思われる。ファンアートと公式フィギュアのYes Man表情シールを見比べてみると、酷似しているといって差し支えないように思える。筆者が画像編集ソフトにて検証したところ、一部の曲線やディティールなど異なる部分もあるものの、眉毛などShuka氏が独自に手を加えたと思われる部分がほぼ重なり合っている。
そもそものファンアートがYes Manの顔を元にしたものであるため、絵柄が似通ってしまうのは自然なことだ。しかしながら、フィギュア付属シールは表情の表現がファンアートと共通しており、分析してみても偶然の一致とは判断し難い。また、Shuka氏はYes Manフィギュアへの使用について、Bethesda側から事前の連絡などは受けていないとしている。同氏の一連の指摘が事実ならば、ファンアートを商品へと無断流用した可能性が浮上する。
Official Bethesda Gear Storeの運営およびグッズ制作については、グッズ制作販売業者であるDevelopment Plusが担っている。同社は2KやElectronic Artsなど複数の大手ゲーム企業タイトルのグッズ制作も担当しており、『DOOM ETERNAL』や『Titanfall』などの限定エディション付属グッズを手がけている。
Shuka氏はBethesdaへのコンタクトを試みており、Official Bethesda Gear Store公式Twitter側から同氏へ連絡先を告げるリプライが送られている。今まさに話し合いがおこなわれているのだろう。また、同氏はストア側やBethesdaに攻撃をしないようにも伝えている。今後同氏と公式ストアの話し合いが穏便に進み、無断流用の有無を含めた事実関係が明らかになり、Shuka氏がBethesdaを気持ちよく応援できるようになることを祈りたい。