『月姫 -A piece of blue glass moon-』は、ファイルサイズがでかい。容量はPS4版もNintendo Switch版も20GB以上の大ボリューム


アニプレックスは8月26日、『月姫 -A piece of blue glass moon-』をPlayStation 4/Nintendo Switch向けに発売した。『月姫』のリメイク発表から10年以上の歳月が経過しているため、一部のTYPE-MOONファンの間では本当に発売されるのか、集団幻覚でも見ているのではないかと疑う声があった。しかし、TYPE-MOONは7月8日にマスターアップを報告。本日26日、予定どおりに『月姫 -A piece of blue glass moon-』は、リリースを迎えた。

収録シナリオは、アルクェイドとシエルのシナリオに限られているとはいえ、再構築された『月姫』を現実に遊べる日がやってきたのだ。ところで、本作にはもう一つ驚くべき事項がある。本作の容量の大きさである。


『月姫 -A piece of blue glass moon-』は、奈須きのこ氏が手がけたシナリオを、立ち絵やCG、フルボイスやBGMなどの演出で彩った伝奇ビジュアルノベル。ゲームとしては、一般的にノベルゲームやADVと呼ばれる、テキストをベースに物語が綴られる形式の作品である。基本的に、文字が主体のノベルゲームでは、3Dモデルで世界を構築しているオープンワールドRPGやアクションゲームなどと比べて容量は少ない。しかし本作では、インストールに際してはPS4版では40GB、Nintendo Switch版では23GBほどの空き容量が必要とされる。実際に使用する容量としても、PlayStation 4版は1.01パッチ後で36.05GB(パッチ前34.58GB)、Nintendo Switch版は20.9GBとなっており、かなり大きい。


参考までに、筆者の手元にある商業ノベルゲームのファイルサイズを挙げると、PCタイトルでは『Summer Pockets REFLECTION BLUE』が約7.7GB、『マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~』が約8.6GB、『CHAOS;CHILD』が約7.9GB、『428 〜封鎖された渋谷で〜』が約13.5GB。ノベルゲームからは少し外れたところでは、『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』が約5.6GB、『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』が約4.3GB、『AI: ソムニウム ファイル』が約10.8GBとなる。

過去のTYPE-MOON作品では、リッチな演出を盛り込んだ『魔法使いの夜』でも約4.8GBとなっている。また、同人サークル時代のTYPE-MOONの公式サイトによると、『月姫』「月姫PLUS-DISC」『歌月十夜』は空き容量150MB以上が必要とされている。時代や形式の変化もあり単純な比較はできないものの、Nintendo Switch版『月姫 -A piece of blue glass moon-』の容量分で、オリジナルの『月姫』100個以上はインストールできる計算となるわけだ。

『月姫 -A piece of blue glass moon-』公式サイトのスクリーンショット
PlayStation Storeのスクリーンショット


同ジャンルの作品と比較して、ファイルサイズが大きくなった要因は何だろうか。本作では、PS4/Nintendo Switch(TVモード)で解像度1920×1080での動作に対応している。しかし、仮にCGやグラフィック系の素材がフルHDで作成されていても、ほかのフルHD対応タイトルではここまでの大容量になっていない。フルHDに対応した上で、大量のCGや素材を使った演出が組み込まれているなら、一因とは考えられそうだ。

PlayStation 4版とNintendo Switch版の容量の差も奇妙である。同じゲームでも機種によってファイルサイズに違いが出ることは多いが、本作はビジュアルノベルにしては差が著しい。PS Storeには、PS4 Pro以上での映像表現の強化を示す「PS4 Pro Enhanced」が記載されている。公式サイトやパッケージ裏には記載がないが、より高品質な素材がPlayStation 4版に用意されている可能性はあるかもしれない。またNintendo Switchは本体容量が小さくパッケージに付属するゲームカードの容量にもある種の制限があることから、よりしっかりとファイルの最適化がされたと考えられるだろう。

また、音はそれなりに大きな容量を占めていそうだ。本作のプレイ時間は、40時間から60時間ほどとされている。基本的に地の文にこそ声はついていないものの、フルボイス対応であるため、キャラクターの音声ファイルが大量にあるのは間違いない。さらに、11月に発売予定のサウンドトラックCDが8枚組/約8時間の大ボリュームとなっているため、8時間分のBGMも容量を取っているのだろう。そのほか本作はTYPE-MOONの作品であるため、こっそり隠しシナリオやミニゲームなどが仕込まれており、それらが容量を食っている可能性もあるかもしれない。さまざまな要因が思い浮かぶが、膨大な素材が使われているのが、容量増の主な理由であると考えるのが妥当なところだろうか。いずれにせよ、さまざまな意味でボリューミーな作品に仕上がっている。


月姫 -A piece of blue glass moon-』は、PlayStation 4/Nintendo Switch向けに通常版が税込7700円で発売中。PlayStation 4版においては、初回起動時に本体の言語設定が日本語に設定されていない場合に、テキストが表示されない不具合も報告されており、本体言語日本語でのセーブスロット作成が推奨されている。