韓国、未成年の深夜ネトゲを禁止するシャットダウン制を年内廃止へ。『マインクラフト』などにも影響したゲームプレイ規制

 

韓国の文化体育観光省と女性家族省は8月25日、未成年者のゲームプレイ時間を規制する「シャットダウン制度」を年内に廃止すると発表した。2011年に韓国議会を通過、施行された同法は『マインクラフト』含む多くのゲームやサービスに影響を与えており、多くの同国ユーザーから廃止が望まれていた。

ネットゲーム強制シャットダウン制は、韓国において2011年に導入された制度で、オンラインゲーム提供事業者を対象にしたものだ。事業者が16歳未満のユーザーに対して午前0時から6時の間にゲームサービスを提供した場合、懲役または罰金などが課せられる。つまり、深夜の時間帯における若年者向けのサービス提供を禁じることで、若年者のゲーム依存症などを緩和しようという制度だった。この制度は0時を境にゲームプレイ不可能になる点から、俗に「シンデレラ法」とも呼ばれた。

同制度には反発も多く、いくつかの事業者については迂回策を講じるなどの動きもあった。また、最初からゲームを「大人向け」として設定して若年者への提供を避ける手法も取られた。具体的にはXbox LiveやPlayStation Networkなどが、韓国向けにサービス提供年齢に制限を加えていたほか、『マインクラフト』については韓国国内において実質“19禁”状態になるなどの出来事があった(関連記事)。同国内のユーザーからも、シャットダウン制への批判の声は大きかった。『マインクラフト』の“大人向け”指定を受けて、同制度の廃止を求めて政府向けに今年7月提出された嘆願は、約1か月の期間中に12万を超える数の署名を集めていた。


韓国の英語メディアThe Korea Heraldの報道によれば、今回の制度廃止の理由について韓国各省庁は「モバイルゲームに制度の強制力が及ばず、また、ストリーミングメディアやウェブコミックなど、ゲーム以外に深夜でも楽しめるメディアが発達してきたため」としている。

今年中のシャットダウン制度廃止後のゲーム中毒対策としては、2012年に導入されたゲーム規制法「ゲーム時間選択制度」に一元化されるようだ。韓国メディア聯合ニュースによれば、この「選択制」は18歳未満のユーザー自身や保護者の申請により、18歳未満ユーザーのゲームプレイ時間を制限できる制度だ。申請の手間についても緩和され、以前はゲームタイトルごとに申請する必要があったものを、今後は文化体育観光部管轄のゲーム文化財団が申請を仲介し、タイトル個別申請を代理する形式になるという。
【UPDATE 2021/11/4 18:40】
文化体育観光部管轄および ゲーム文化財団を正式な名称として記載

また、韓国政府は今回の廃止とともに、ゲーム文化やメディアリテラシーなど、ゲームに関する教育を強化していく意向を示している。2022年を目処とする韓国の教育改革では、ゲームの過剰なプレイに関する内容も盛り込まれる。教師や保護者向けのガイドライン提供のほか、ゲームを過度にプレイしている若年者については、カウンセリングなどの治療を、オンラインまたはリハビリキャンプにて提供していく意向だ。

約10年にわたり、ゲーム事業者の手を焼かせて来たであろうシャットダウン制。今回の廃止は韓国に展開する事業者はもちろん、同国ユーザーたちの多くにとっても喜ばしいニュースではないだろうか。心身の健康を損ねるほど過剰なゲームプレイについては、できれば「シャットダウン制」ではなく、子供としっかり向き合ってお互い納得の上で防ぎたいものだ。