閉塞百合ジュブナイルノベル『世界を破壊する魔法』フリーゲームとして公開。いじめや暴力を交えて描かれる、終わりを探す少女たちの夏
国内のサークルもっきゃりぺおは8月21日、『世界を破壊する魔法』をフリーゲームとして公開した。対応プラットフォームはPC。ふりーむ!ではWindows版が公開されており、公式サイトではMac版も公開されている。
『世界を破壊する魔法』は、少女たちが世界を終わらせようとする、閉塞百合ジュブナイルノベルゲームである。主人公の夕暮鴉は、思い込みの激しい女の子だ。彼女は、イマジナリーフレンドのフェアリーハートを頭の中に飼っており、いつも自分と空想の友達について考えていた。ある夏の日、夕暮鴉はちょっとしたきっかけからフェアリーハートを否定し、空想の友達はいなくなってしまう。夕暮鴉はフェアリーハートを探すものの、いつだって呼べば応えてくれた妖精はどこにも見当たらない。
そんな中、夕暮鴉は夢の中で、かつてフェアリーハートが雑木林に「世界を破壊する魔法」を埋めたと言っていたことを思い出す。同時に彼女は、大人になる前に「世界を破壊する魔法」を掘り出す約束をしていたことも思い出し、昔住んでいた団地の裏の雑木林へ出発。そこへ、夕暮鴉をいじめている同級生の朝野光も登場し、なぜか2人で「世界を破壊する魔法」を探すことになる。一方、彼女たちのクラスメイトで、自分が常に正しいと分かっている平野蛟は、夕暮鴉に目をつけ始めていた。いなくなったともだちと、新しい友達。変わりゆく関係。肌にまとわりつく夏の空気。「世界を破壊する魔法」を探す少女たちの、暗い一夏の青春が描かれる。
本作では、キュートな絵柄のイラストと一人称視点のテキストによって、少女たちの物語が展開していく。公称プレイ時間は1時間から1時間30分程度。その中には、140枚以上のCGが使用されており、さまざまなシーンがイラストを伴って表現されている。
しかし本作で描かれているのは、可愛いだけの物語ではない。公式サイトや公式Twitterにも記載されているとおり、本作には陰湿ないじめや軽度の暴力表現、性描写も含まれている。性格の悪い少女たちの姿もキュートな絵柄でコーティングしつつ、少女と少女のストーリーが描かれていくわけだ。フリーゲームらしい尖った内容により人を選ぶものの、刺さる人には刺さる内容になっていることだろう。
『世界を破壊する魔法』を開発したもっきゃりぺおは、みるきー氏とゆふ氏の2人で活動している国内のサークル。本作では、企画/シナリオ/キャラクターデザイン/CG清書などをみるきー氏、一部CGの構図や公式サイトの制作などをゆふ氏が担当している。
『世界を破壊する魔法』は、PC向けにフリーゲームとして公開中。ふりーむ!からはWindows版、公式サイトからはMac版がダウンロードできる。