Activisionは8月20日、『Call of Duty: Vanguard』を発表した。発表とともに公開されたトレイラーは、本作の多彩なロケーションと緊迫感あるシネマティックを紹介している。しかし、同トレイラーは別の観点でも一部ユーザーの注目を集めているようだ。「Activisionロゴの不在」である。
『Call of Duty: Vanguard』は、 人気FPSシリーズ『コール オブ デューティ』の最新作だ。同シリーズは、複数の開発スタジオが各作品を担当する形式で制作されている。初代『コール オブ デューティ』や『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』を手がけたInfinity Wardをはじめとして、『コール オブ デューティ ブラックオプス』を開発したTreyarch Studiosや、今回の『Call of Duty: Vanguard』の開発に携わるSledgehammer Gamesなどだ。
開発元にかかわらず、同シリーズのプロモーション映像においては、慣例的に開発担当スタジオおよびActivisionのロゴが表示されていた。開発元だけが表記されるティザートレイラーや、逆にActivisionロゴのみが表示されるプロモーション映像など過去の一部例外を除いて、ほとんどの映像でActivisionのロゴと開発スタジオのロゴがともに紹介されている。そして、Activisionのロゴが登場しない映像では、開発スタジオのロゴも割愛される場合がほとんどだ。筆者が『コール オブ デューティ』公式YouTubeチャンネルで確認した範囲内では、近年においてこの傾向は一貫している。
しかし、今回の『Call of Duty: Vanguard』トレイラーにおいては、上述の慣例を踏まえると異例といえるクレジット表記がなされている。開発元のロゴが表示されている一方で、Activisionのロゴが表示されていないのだ。同トレイラー終盤では、本作の開発に携わる各スタジオのロゴのみが表示され、Activisionに関する記述は比較的小さい権利表記のテキストのみに留まっている。些細な差異ではあるものの、過去作品映像の表記と比較してみると、確かな違いがあるといえる。
ほかにも差異が生じている点がある。Activision Blizzardが運営するゲーム配信プラットフォームであるBattle.netにおける、『コール オブ デューティ』各作品のストアページにおけるタイトルビジュアルだ。基本プレイ無料作品『Call of Duty: Warzone』を除き、全てのメインシリーズでタイトルロゴの上にActivisionロゴの表記がある一方で、今回の『Call of Duty: Vanguard』タイトルにActivisionロゴは付随していない。
Activisionロゴ表記の変化の原因として考えられるのが、同社を擁するActivision Blizzardを現在取り巻いている一連の問題だ。同社が先月7月20日に社内における従業員に対する不当な扱いなど理由に提訴されたのを発端として、関係者による告発や抗議運動が過熱。Blizzard社長の退任などの出来事にまで発展しており、記事執筆現在も一連の問題は解決を見ていない(関連記事)。こうした背景から、一部コミュニティにおいては「Activisionが問題を受けてブランドアピールを意図的に控えているのではないか」といった意見が出ている。
海外メディアAxiosジャーナリストStephen Totilo氏はActivisionに対して今回のロゴ表記について質問し、回答を得ている。同社広報担当者は、今回Activisionロゴを割愛したのは「『Call of Duty: Vanguard』のフランチャイズにおける立ち位置を示すためのクリエイティブな選択」であるとコメントしている。
一方で、Activision Blizzardの双璧をなすBlizzardは、騒動が起きた後の8月12日に公開された『ディアブロ II リザレクテッド』シネマティックトレイラーにおいて「BLIZZARD ENTERTAINMENT PRESENTS」とはっきり表記している。Activision Blizzard全体として必ずしもブランドアピールを控えているわけではないようだ。
些細なことではあるものの、一連の騒動による影響もあり注目と話題を呼んだ今回のロゴ表記問題。今後Activision発売作品のトレイラーを見る際には、ロゴに着目してしまいそうだ。