スペインのインディーゲームスタジオDeconstructeamは8月19日、『Eternal Home Floristry』を日本語に対応した。『Eternal Home Floristry』は、itch.ioから無料でダウンロード可能だ。
『Eternal Home Floristry』は、花束によって感情を揺さぶる、花と死の短編ADVである。本作の舞台は、本物の花が貴重になった世界。錆びついた大都市には、研究所で生成された模造品が出回り、本物の花を扱う店は数少なくなっていた。
主人公ゴードンは、殺し屋の男である。ゴードンは、あるきっかけから片腕を失い、大都市唯一の花屋で身を潜めていた。花屋「永遠なる家」の主人セバスチャンが、ゴードンを匿う理由はわからない。しかしゴードンは、恩義を感じたのかセバスチャンに手伝いを申し出て、彼に代わってフラワーアレンジメントをすることになる。人に雇われ命を奪ってきた男が、花束によって人の人生を左右していく。
ゴードンは、セバスチャンに花の持つ意味合いなどを教わりながら、花のアレンジを代行する。本物の花があるといっても、永遠なる家の土は長年の使用により疲れ果てており、残っている花は少ない。現存する花は、憎しみを運ぶトリカブト、哀しみと向き合うアスフォデル、愛と情熱のピンクカメリア、希望のブルーアイリス、不吉の象徴クリムゾンルピナスの5種類。ゴードンは、5種類の中から3本の花を選び、花束を作る。
また、この世界における本物の花の香りには、命に執着する人間たちに作用し、神経伝達物質の洪水を引き起こす力がある。具体的には、緊迫した状況にある依頼者に、トリカブトやクリムゾンルピナスの花束を作ると、悲劇が起こってしまう。殺し屋の男が選んだ感情により、依頼者や自身の行末が変化する、花と死の物語が描かれる。
本作を開発したのは、スペインのインディーゲームスタジオDeconstructeamである。同スタジオは、2018年にサイバーパンクスリラーADV『The Red Strings Club』をリリース。同作のSteam版では、6600件以上のユーザーレビューにより非常に好評を獲得している。
『Eternal Home Floristry』は、同スタジオがゲームジャム「Ludum Dare 43」で開発し、2018年12月に公開した作品だ。長らく日本語には対応していなかったが、『Dead Cells』『Hollow Knight』『The Red Strings Club』など、多数のインディー作品の日本語ローカライズに関わってきた翻訳者、伊東龍氏の翻訳により8月19日に日本語対応を果たした。同氏はツイートで、『Eternal Home Floristry』をプレイした時からどうしても翻訳したいと思っていたといい、同氏が頼みこむ形で有志翻訳が進められたそうだ。
『Eternal Home Floristry』は、PC(itch.io)向けに無料公開中。ゲーム起動後に日本語を選択すれば、日本語字幕でプレイできる。
【UPDATE 2021/08/20 19:55】
伊東龍氏の翻訳実績タイトルについて修正。