協力型ゾンビFPS『Back 4 Blood』開発元が「ゾンビの叫び声」修正を表明。不幸な偶然によりとんでもない言葉を口走るゾンビ
パブリッシャーのWB Gamesは8月8日、現在海外向けにベータテスト中のゾンビFPS『Back 4 Blood(バック・フォー・ブラッド)』について、作中の「ゾンビの叫び声」を修正する意向を明らかにした。その背景には、ゾンビの絶叫が偶然とんでもない意味をもってしまう現象があったようだ。
『Back 4 Blood』は、ゾンビFPS『Left 4 Dead』シリーズ開発元のTurtle Rock Studiosが手がける最大4人協力対応のFPSゲームだ。国内向けのベータテストは残念ながら中止となってしまったものの、海外向けベータテストはダウンロード版の予約購入者などを対象に8月6日から開始しており、Steamにおける同時接続数がピーク時には約9万8000人という盛況を見せている。
発売前から多くのファンの期待と注目を集めている作品だけあって、多種多様なプレイヤーが本作ベータテストの様子を配信しており、コミュニティではゲームプレイに関する感想や議論が盛り上がっている。しかしそんな中、ゾンビのある言動が一部コミュニティから強い注目を浴びることになった。ゾンビが、多くの人々にとって聞き捨てならない言葉を叫んでいるように聞こえたのだ。
ゾンビが叫んでいるように聞こえる言葉、それは黒人に対する人種差別語、いわゆる「N-word」だった。ストリーマーのHomBKE氏がゾンビの絶叫に反応する動画は、Twitter上に投稿されるや否や拡散し、記事執筆時点で7000件に迫るリツイートを集めている。別のストリーマーも同様の叫び声を収録した動画で反応しており、この話題は海外メディアKotakuにも取り上げられることとなった。
HomBKE氏が投稿した動画を参照すると、カタカナで表現するならば「ニェガー!!」とかなりはっきり発声しながら襲い来るゾンビが確認できる。動画におさめられたHomBKE氏も「オレのことなんて呼んだ?」とややキレ気味に反応している。ストリーマーのDotodoya氏も、同様の叫びをあげるゾンビに遭遇して驚く様子をおさめた動画をHomBKE氏へのリプライとして投稿した。投稿へのリプライ欄にはほかにも「N-wordに聞こえた」という前提の返信が多く連なっていることから、英語圏のユーザーにとってはかなりはっきり差別用語に聞き取れてしまう塩梅になっていると見られる。
もちろん、開発元が意図的に差別用語をゾンビに叫ばせたとは考えづらい。前述のKotakuの報道に応じてパブリッシャーのWB Gamesが同誌に送った声明では、差別用語に聞こえた理由は偶然の“空耳”であるという旨と、今後の対応が述べられている。まず、ゾンビ絶叫が差別用語のように聞こえたのは、「2種類の唸り声がたまたま重なってしまったことが理由」だったそうだ。つまり、「ニェー!」と「ガー!」という叫び声が合体したことにより不幸にも、あるまじき差別用語に聞こえてしまったのだろう。また、この空耳についてはベータテスト期間中か、遅くとも正式リリース時には修正される予定とのことだ。
なお、前述の動画への反応はおおむね、唐突なN-wordに対して本気で怒っているというよりも、空耳をネタにして楽しむような反応が目立つ印象だ。しかし、多くの英語話者にとって、特に黒人ユーザーにとっては思わず反応してしまうほど差別用語に聞こえるのも確かなようだ。今回の一連の騒動とWB Gamesの慎重な対応については、人種差別や糾弾の結果というよりは、偶然の空耳が生んでしまった不幸な珍事と呼ぶ方がふさわしそうだ。
『Back 4 Blood(バック・フォー・ブラッド)』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに10月12日発売予定。サブスクリプションサービスXbox Game Pass向けにも、発売と同時に提供予定だ。