Googleが『フォートナイト』のEpic Gamesを、かつて買収しようと検討していた。Epic Gamesのボスも知らなかった計画

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Googleが、かつてEpic Gamesの買収を検討していたことが明らかになった。Googleというと、クラウドゲームサービスStadiaを展開し、一時期は自前のゲーム開発スタジオも抱えていた。そんななかEpic Games買収計画が公になったが、Googleは単にゲーム事業を強化するためにEpic Gamesを買収しようとしたわけではなかったようだ。海外メディアThe Vergeが報じている。


GoogleがEpic Gamesの買収を検討していた事実は、現在進行中の訴訟に提出された資料から明らかになった。その訴訟は、Epic Gamesの『フォートナイト』が、規約違反を理由にGoogle Playストアから削除されたことを受けて、同社がGoogleに対し反トラスト法(独占禁止法)違反を訴えたもの。同様の訴訟は、App Storeから『フォートナイト』を削除したAppleに対してもおこなっている(関連記事)。Epic GamesはGoogleとの訴訟について、今年7月に修正訴状を提出しており、それが8月5日になって公開された。

その修正訴状では、Androidプラットフォーム上における競争環境に関しての、Google社内でのやりとりが新たな情報として追加されている。このなかでEpic Gamesは、Googleは独占的な市場から得た利益を使い、競合他社の排除をおこなっていたと指摘。そのうえで、Epic Gamesなどが取り組んでいた、消費者や開発者に提供する競争力のある代替プランの脅威に対処するため、GoogleはEpic Gamesのすべて、あるいは一部の部門を買収して抑え込むことを、社内で検討していたと主張した。

Googleは今年7月、Google Playストアをめぐり反トラスト法に違反したとして、アメリカの37州から連邦地裁に提訴されている。このなかでは、Googleはデベロッパーの買収によって、競合アプリストアへのサポートを阻止したと指摘されている。原告はまた、Googleは(Android版『フォートナイト』が配信されている)サムスン電子のGalaxy Storeを競合アプリストアとみなし、競争を阻害する複数のプロジェクトを秘密裏に実行していたとも主張している(ロイター)。今回Epic Gamesは、こうした裁判を受けて修正訴状を提出した可能性がありそうだ。


Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏によると、GoogleがEpic Gamesの買収を検討していたことは、その当時は把握しておらず、いまになって初めて知ったとのこと。裁判所の秘密保持命令に関係する情報だったそうで、事実のようだ。また、その買収についてGoogleは、交渉を経ておこなうつもりだったのか、敵対的買収を仕掛けるつもりだったのかも分からないとしている。

人気ゲーム『フォートナイト』を開発・運営し、Unreal Engineを手がけ、また傘下には広くゲーム業界にかかわる多数の企業を抱えるEpic Games。もし同社が、競合潰しのためだけにGoogleに買収されていたとすれば、ゲーム業界にどれほどの影響が広がっていたのか、なかなか想像しにくい。もっとも、Sweeney氏はファンからの問いに、買収に応じることは決してないと回答しており、実現の可能性は高くはなかったかもしれない。

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