『FF14』賢者のジョブアイコンデザインが変更に。集合体恐怖症を想起させるとして
スクウェア・エニックスは7月30日、同社が開発・運営するMMORPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)の新ジョブとして実装が予定されている「賢者」のジョブアイコンのデザインを変更すると発表した。賢者は、次期大型拡張「暁月のフィナーレ」にて実装予定のジョブである。事の発端となったのは、7月12日に公式フォーラムへ投稿された「賢者のジョブアイコンのデザインについて」というスレッドだ。
同スレッドではトライポフォビア(日本での通称は集合体恐怖症)のため賢者のジョブアイコンが受け付けられず、デザインを変更してほしいといった内容の投稿がされている。トライポフォビアとは、蜂の巣や蓮の実といった小さな穴が集合しているものに対して恐怖や嫌悪感を抱くという恐怖症のひとつ。賢者のジョブアイコンについても、穴が空いているというデザインが人によってはゾワゾワする、といった同意の意見がスレッド内でも散見されていた。
特に問題視されていたのは、ジョブアイコンは常にパーティリスト上に表示されてしまうという点だ。アイコンに限らず、たとえば苦手なデザインのエネミーがいる人もいるだろうが、それらを目にするのは戦闘中に限定され、なるべく視界に映さないようにするといった対処もできる。だがジョブアイコンはパーティリストやパーティ募集といったUIに常日頃から表示され続けるものであり、見ないようにするといった対応にも限度があるからだ。パーティで組んだフレンドの名前の横に嫌悪感を覚えるデザインが表示されている状況を想像してみれば、たしかに対応してほしいという気持ちは理解できるだろう。
しかしトライポフォビアは個人差が非常に大きいことも起因して、賢者のジョブアイコンについてさまざまな意見が寄せられている。同じように苦手意識を持つ人もいれば、集合体恐怖症だが賢者のジョブアイコンは平気といった意見もあり、やがて賢者のジョブアイコンに恐怖を感じるかどうかをめぐって論争は激化。中にはトライポフォビアというのは建前に過ぎず、気に入らないデザインを変更してほしいというわがままを通したいだけなのではないか、といった手厳しい意見も出ていた。フォーラムだけでなくTwitterにも波及していた今回の論争だが、話題となってから2週間という異例の速度でデザインが変更される結果となった。
『FF14』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏は、賢者のジョブアイコンについて、トライポフォビアの解説をするとともに「個人差があるとはいえ、世界中のプレイヤーの方からフィードバックをいただいたこと。そして、現在まだ差し替えの猶予があること。これに加えてジョブアイコンのデザインはゲーム内でも視認する機会が非常に多く、グッズ化などの際には更に多くの人の目に触れる可能性もあること」を理由とに、変更を決断した経緯を説明している。
新しいデザインの方向性についてはトライポフォビアの原因となる穴の要素を減らした上で、「賢具」をイメージした、元のコンセプトを生かした調整をしたとも解説。変更前のデザインが良かったと感じているユーザーにも理解を求めた。
ジョブのイメージを決定づける要因のひとつでもあるジョブアイコンのデザインが変更されるというのは、非常に珍しい例だろう。最近では欧米を中心としてプレイヤー数が急増している『FF14』だが、今回のような個人差の強い要望にも迅速に対応する姿勢もまた、ユーザーに支持されている理由のひとつなのかもしれない。
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