『Bloodborne』の“開かずの扉”を開けちゃうMod制作者あらわる。多くの狩人の心にひっかかっていた謎のショートカット

 
Image Credit: Garden of Eyes on Youtube

フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPG『Bloodborne(ブラッドボーン)』には、2015年の発売から約6年が経った今もなお、いくつかの“謎”が残されている。謎は推測と議論を呼び、本作のファンたちは今も終わりなき洞察の旅を続けている。今回、そうしたファンの心を掴む謎のひとつである「開かずの扉」を、Modによって開通させてしまったユーザーが現れたようだ。なお本稿には、本作序盤のネタバレが含まれるためご注意されたい。
 

Image Credit: Garden of Eyes on Youtube

 
開通させられた扉は、『Bloodborne』ゲーム内エリアの「聖堂街」に存在するものだ。景観を構成するハリボテとして「開かずの扉」が多数ある本作のなかで、この開かずの扉がとりわけ興味を集めた理由はいくつかある。問題の扉は大量の壺が立ち並ぶ部屋を通り抜けた先にあり、行き止まりにポツンと配置された宝箱の横に存在している。やや不自然ながらも、これだけでは単なる景観デザインとも受け取れなくない。問題はこの扉が「インタラクト可能」な点だ。

本作における背景扱いの扉は、基本的にインタラクトできないようになってる。デザイン的にも、障害物でふさぐなどの工夫で「これは背景ですよ」と示し、プレイヤーの集中を削がないようになっている。しかし、今回の「開かずの扉」に関しては、プレイヤーが調べると「かたく閉ざされている」というメッセージが返ってくるのだ。不自然な立地かつインタラクト可能なのはかなりの特例である。そのため、この扉は「何かあるのではないか」と本作一部ファンの間でしばしば話題になる存在だった。

ファンの興味を引くこの扉は、国内外の多数プレイヤーによる検証の的にもなっている。結論からいえば、この扉は「ヤーナム市街」に存在する「大橋」に繋がっているようなのだ。大橋はボス「聖職者の獣」との戦闘が発生するエリア。戦闘後には拠点となる「灯り」を利用可能になるものの、大橋の先は封鎖されており通過することができない。この封鎖部分にぽつりと置かれた扉が「開かずの扉」の行き先である。つまり、件の扉は大橋と聖堂街を繋ぐショートカットだったのだ。この扉が“開かず”になった理由として、一部ファンの間では、「ロード時間の問題で実装が取りやめられたのではないか」と推測されている。
 

 
この扉を、おそらく世界で初めてきちんと“開通”させてしまったのが、海外『Bloodborne』Mod制作コミュニティGarden of Eyesだ。同コミュニティは『Bloodborne』に登場するボス同士で戦闘させるなど、本作にまつわる多様な試みをおこなっている。コンソールのゲーム改造というグレーな領域ながら、かなり高い技術力を持つMod制作者だ。Garden of Eyesは“開かずの扉が開く”衝撃的映像と、開発の経緯を動画にまとめている。

まず、前述の通りこの「開かずの扉」が大橋と聖堂街を繋ぐものであることは判明していた。ところが、単に扉を開けられるように改造するだけでは透明な壁にはばまれて通行できなかったそうだ。しかし近年、Mod技術が発達したことにより、透明な壁を克服しめでたく開通に至ったとのこと。実装にはゲームファイルやマップ、スクリプトなどへの多くの調整が必要だったということで、シンプルに「扉を取っ払う」といった単純な挑戦ではなかったことがうかがえる。
 

 
動画では、開通したショートカットを実際に利用して大橋と聖堂街を行き来する様子が見られる。ロード時間はたしかに課題だったようで、動画の後半では聖堂街から大橋側に出た際にロードが間に合わず、透明の足場に乗っている状態になってしまった一幕もおさめられている。ほかにも同Modでは、進行にかかわるバグを防ぐため「聖職者の獣」を倒していない場合には通行不能になる、開通に伴いやや邪魔になった宝箱の配置をちょっとずらすなどの工夫がなされているようだ。
 

Image Credit: Garden of Eyes on Youtube

 
『Bloodborne』は現在、 PlayStation 4以外のプラットフォームではリリースされていない。そのため、今回のModもコンソール版ゲーム改造という立場のやや危うい技術の上に成り立っている。しかし、気になっていた「あの開かずの扉」が繋がっているのを見るだけで、胸のつかえが取れたような心地がする同作ファンもいるのではないだろうか。

リリースから6年を経てさまざまな形で愛される『Bloodborne』には、マップ構造のみならず物語など多方面に、まだ考察と議論を呼ぶ要素が残っている。今後もファンによるヤーナムの探求は続いていくことだろう。