ホラードライビングシム『BEWARE』新ゲームプレイ映像公開。弾圧下のチェコで育った鬼才映像クリエイターのゲーム作品


個人開発者のOndřej Švadlena氏は、ホラードライビングシム『BEWARE』の新ゲームプレイ映像を公開した。森や市街地、敵の拠点らしきエリアなど、本作の複数のロケーションが盛り込まれており、敵の追跡から逃走する様子など、ゲームプレイの片鱗も感じられる内容となっている。
 

 
『BEWARE』は、オープンワールドのドライビングシミュレーションゲームだ。プレイヤーは不穏さの漂う夜道を、なにかに駆り立てられるようにひたすら車で走り続ける。ゲーム中にはプレイヤーを狙う敵も登場し、今回の映像では近未来的な見た目のトラックが主人公を追い立てたり、容赦なく体当たりしてくる様子が見られる。また、本映像では、支援者向けのデモ版に含まれる、複数のエリアでのゲームプレイの様子が確認できる。

現時点では、本作のゲーム内での目標や、ゲームプレイ要素は不明瞭な点が多い。明らかになっているのは、複数の領域を持つ144キロメートル平方の広さのオープンワールドになるということや、マップ内オブジェクトに体当たりして押しのけたり、スイッチを押したりする要素が盛り込まれるということだけだ。しかし、描き出されている世界観は独特で、「死んだような世界でドライブし続ける」というコンセプト自体が魅力を感じさせる。

開発者のŠvadlena氏は、過去に「MRDRCHAIN」および「TIME RODENT」という短編CG映像作品を制作している。いずれの作品にも、『BEWARE』と共通するようなディストピア感や、「街灯」、「車」、「明かりの漏れるビル」といったモチーフが登場している。Švadlena氏によれば、ゲーム制作に踏み切った背景には、「Švadlena氏の作品の世界観をもっと長く味わいたい」という同氏のファンによる意見があったそうだ。そうした意味では、『BEWARE』は映像作品の延長線上にあると捉えられる。
 

 

 
また、Švadlena氏は幼少期を共産党体制下のチェコスロバキアで過ごしている。海外メディアThe Guardian誌のインタビューのなかで同氏は、「6歳の時、親がソ連旗を称揚しないことを密告しそうになった」など、弾圧のなかでの壮絶なエピソードを語っている。そうした幼少期の経験も、作品から滲み出る不穏さの表現に影響しているのだろう。

Švadlena氏はクラウドファンディングサイト、Patreonにて支援を募りつつ、『BEWARE』の開発とアップデートを続けている。開発は熱意を持って継続されているようで、先月6月にも支援者向けのデモ版を公開。また、次バージョンより車の物理エミュレーションプラグインをVehicle Physics Proへ変更する旨を報告している。これによりハンドル型コントローラーなどへの対応も可能になるとのこと。

『BEWARE』のデモ版は、IndieDBにて公開中だ。しかし、約2年前に公開されたバージョンということもあり、動作がなかなか不安定なことに注意されたい。Švadlena氏は前述Patreonページ、および同氏のTwitterアカウントで開発状況を定期的に投稿しているため、そちらをチェックするのもよいだろう。