KONAMI(コナミ)は7月7日、「FCバルセロナに所属する選手の発言について」と題したリリースを掲載した。リリースではFCバルセロナに所属するサッカー・フランス代表のアントワーヌ・グリーズマン選手について、『遊戯王』コンテンツにおけるアンバサダー契約を解除することを発表している。日本人への差別的発言がおこなわれている流出動画内にグリーズマン選手が写っていたことを受けての発表で、「スポーツの理念がそうであるように、いかなる差別も許されるものではない」としている。
グリーズマン選手については、2019年に撮影された動画が今月7月2日ごろに流出。その内容が日本人を差別したものであるとして波紋を呼んでいた。この流出動画はFCバルセロナが試合で日本を訪れた際、グリーズマン選手と同じくサッカー・フランス代表のウスマン・デンベレ選手が撮影したものとみられる。
内容は、ゲーム機の設定をするために呼び出したホテルスタッフに対してデンベレ選手が差別的な発言をし、ベッドに座っているグリーズマン選手が笑っている、というもの。デイリー・メールをはじめとしたイギリスのメディアによると、差別的発言の内容は「こんな不細工な顔で恥ずかしくないのか」「どんな後進国の言葉なんだよ」といったもののようだ。しかし、動画でのデンベレ選手の発言はフランス語で、英語メディアに翻訳する際に誤訳が発生したのではないかとする説もある。今回の発言はフランス語話者にとっては少々口が悪いスラング程度の内容であり、本人たちに差別的な意図はなかったのではないかと、フランス・パリを拠点に活動する作家の辻仁成氏は指摘している。一方で、フランス在住経験のあるジャーナリストのジャスミン男氏は、辻氏の主張に反論。2選手に差別的な意図があったと指摘している(note)。
実際に差別的意図があったかどうかはともかく、サッカーのフランス代表ともあろう人間が人種差別的ともとれる発言をしたことで、大きな騒動となってしまっていることは事実である。グリーズマン選手は2021年6月に『遊戯王』コンテンツの公式アンバサダーに就任していたが、本件を受けて契約解除となった。YouTubeの『遊戯王OCG』公式チャンネルにアップロードされていた就任時のインタビュー動画も削除されており、ことの大きさがうかがえる。グリーズマン選手本人による差別的発言ではないにせよ、デンベレ選手の発言を止めずに笑っていたのは“共犯”と言って差し支えないということだろう。流出した動画内でグリーズマン選手とデンベレ選手がプレイしようとしていたゲームは、コナミが発売する『ウイニングイレブン』シリーズとみられる。
グリーズマン選手は5日、自身のTwitterに謝罪文を掲載。デンベレ選手もInstagramのストーリーにて謝罪。また、グリーズマン選手とデンベレ選手が所属するFCバルセロナも7日に公式声明を発表し、「不愉快な思いをされた全てのファンとパートナーの皆様に公式に謝罪いたします」とし、本件を謝罪している。ちなみに前出のジャスミン男氏は、グリーズマンの謝罪のニュアンスを補足。グリーズマンは、差別を謝罪したというよりは、差別的な意図を否定したとの見解を示している。
人種差別的発言により『遊戯王』コンテンツの公式アンバサダーの契約が解除されてしまったサッカー・フランス代表のグリーズマン選手。Twitterでは、FCバルセロナのスポンサーである楽天の三木谷浩史社長も遺憾の意を表している。依然として日本国内での怒りは大きい。