『VA-11 Hall-A』二次創作ゲーム『ジルの一日』体験版が公開。ゲームボーイ風のキュートなスタイルでグリッチシティ探索
国内インディーデベロッパーのグアノイスゲームスは6月27日、itch.ioにて『ジルの一日』体験版を公開した。『ジルの一日』はサイバーパンクADV『VA-11 Hall-A』を原作とした二次創作ゲームだ。公開は同作主人公であるジルの6月27日の誕生日を記念しておこなわれた。
『VA-11 Hall-A』は、ベネズエラのデベロッパーSukeban Gamesが手がけるサイバーパンクADVゲームだ。舞台は欲望と欺瞞渦巻く近未来都市グリッチシティ。プレイヤーはその一角にあるバーVA-11 Hall-Aのバーテンダーである、主人公ジルとなり、カクテル作りを通じて仕事仲間や顧客たちとの物語を紡いでいく。本作は英語と中国語のほか、日本語にもローカライズ(弊社アクティブゲーミングメディアのパブリッシングブランドPLAYISMが担当)されており、国内外の同作ファンに根強く愛されている作品だ。
『ジルの一日』を開発した個人開発者のたくや氏も、そうした『VA-11 Hall-A』ファンのひとりのようだ。ジルの誕生日を記念して公開された『ジルの一日』は、itch.ioにて無料で公開されており、ブラウザ上でプレイ可能だ。体験版であるためゲームプレイは限定的ながら、『VA-11 Hall-A』愛を強く感じる内容となっている。
まずゲーム開始すると出迎えてくれるのは、「飲み物とおつまみを用意して…」というダイアログだ。こちらはオマージュとなっており、原作でもプレイヤーは同じダイアログを経てプレイを開始することになる。現在のゲームプレイ内容は、ジルを操作してグリッチシティを歩き回るというシンプルなものだ。しかしながら、スタート地点のジルの私室からして、ほとんどの物にインタラクトできる凝りようだ。ジルが漏らす独り言も、ファンならニヤリとするような、原作のテイストをよく捉えたものとなっている。
バーVA-11 Hall-Aに出勤すれば、ボスであるデイナが出迎えてくれる。トイレの様子を見に行ってみると、どうやらトラブルは起きていないようだ。グリッチシティの各所を自由に歩き回って調べられるのは、ファンにとって魅力的なシステムだろう。また、『ジルの一日』は、グラフィックやBGMに至るまでゲームボーイ作品をオマージュした作りになっている。かわいいピクセルグラフィックは街やキャラクターの特徴をよく捉えており、BGMのチップチューンは懐かしさを醸し出す。このスタイルは、レトロゲームへのリスペクトも盛り込まれている『VA-11 Hall-A』のテイストと非常にマッチしている。なお、制作についてはGB Studioというゲーム制作ツールを利用しているとのこと。
『ジルの一日』はまだ体験版であり、街のランドマークを調べると「今はまだ準備中」といったダイアログが表示される。今後、コンテンツが追加されていくのかもしれない。本作は現在日本語版のみとなっているものの、英語圏からの反響もあるようで、制作者のたくや氏は英語版展開も考慮しているとのことだ。
原作開発元のSukeban Gamesは、二次創作を容認する姿勢を見せている(公式サイトFAQページ)。『ジルの一日』についても、Sukeban Games公式ツイッターアカウントと原作開発者が、制作者のたくや氏による告知をリツイートしており、原作開発元からも歓迎されている様子がうかがえる。
たくや氏だけでなく、『VA-11 Hall-A』ファンコミュニティが各人、思い思いの方法でジルの誕生日を祝しているようだ。SNS上ではお祝いのコメントやファンアートの投稿、はたまたジルのコスプレを投稿するユーザーも見られる。今月6月21日に発売5周年を迎えた同作は、これからも長くファンの愛を注がれることだろう。