『Apex Legends』において、「PS4版マッチにPC版チーターが出現した」という情報が出回り、国内コミュニティで話題を呼んでいる。同作においては、コンソール版とPC版のマッチングについては厳密に切り分けられている。報告が事実であれば、比較的チーターが少ないとされる環境だったコンソール版同作における大きな問題となり得る。
『Apex Legends』はPC(Steam/Origin)およびコンソール(PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch)向けに配信されている。各コンソール版とPC版はクロスプレイが可能だ。しかし、PC版のプレイヤーがパーティーに存在しないかぎり、コンソール版プレイヤーとPC版プレイヤーはマッチングされない仕組みになっている。そしてPC版のプレイヤーがいるパーティーは、PC版のマッチングに参加。コンソール版のマッチには、PC版プレイヤーが入ってこない仕様となっている。
PC版の同作については、「壁を透視して敵プレイヤーの姿を見る(ウォールハック)」、「敵に向けて照準を自動的に合わせる(エイムボット)」といったチート(不正)行為が問題になっている。一方で、コンソール版については、PCとは違いユーザー作成プログラムを実行することに高い技術が要求されるため、そうしたチートを実装するためのハードルが高い。つまり、「コンソール版プレイヤーだけで組めばチーターと遭遇しない」という認識があったのだ。ところが、そうした認識を脅かすように「コンソール版マッチングにおいてPC版チーターと遭遇した」というプレイヤーによる動画が投稿されている。
PS4版における「PC版チーター発見」動画は、複数のプレイヤーによって投稿されている。特に顕著にチーターらしき姿を捉えたのが、『Apex Legends』プレイヤーのポッキー氏がTwitterに投稿した動画だ。各プレイヤーが利用しているプラットフォームは、画面左下の表示から確認できる。
同氏のチームメンバーはいずれもPS4を利用している表示で、本人についてもHUDのボタン表示から同じくPS4を利用していることがわかる。本来であれば、PC版プレイヤーとはマッチングしないはずのチーム構成だ。しかし、同氏を倒したプレイヤーには、PC版でプレイしていることを示すアイコンがついていた。同様の動画は、ほかのプレイヤーからも投稿されている。
さらに問題なのが上記“PC版プレイヤー”の挙動だ。各動画を見るかぎりでは、同プレイヤーはエイムボットを用いたチート行為をしているように見受けられる。さらには壁の向こうの敵を認識しているかのような視点の移動をおこなうなど、ウォールハックを併用している可能性もありそうだ。いずれにせよ、チート行為をおこなっていると疑うには、十分なほど不自然な挙動を見せている。
「PC版プレイヤーがPS4版マッチングに出現する」という現象が、不具合の可能性はある。しかしながら、動画におさめられたPC版プレイヤーたちはチートを用いている可能性が高く、意図的に何らかの方法でPS4版マッチに“乱入”していると考えるのが自然だろう。
不正プレイヤーがいかにしてこの乱入をおこなっているかは定かではないものの、「マッチングサーバーに対して改竄した情報を渡す」、「サーバー自体の不具合を利用するような操作をおこなう」などの手法が考えられる。また、海外掲示板Redditの『Apex Legends』コミュニティ、/r/apexlegendsなどの海外フォーラムでは、同様の報告は今のところ見られない。そして、英語圏のいくつかのビデオゲームチート製作コミュニティでも、“乱入”を実現する手法は共有されていないように見える。そのため、この不正行為については国内、ないしは英語圏以外の場所が温床になっている可能性がある。
なお『Apex Legends』は、クロスプレイ機能をオフにすることで同プラットフォームのプレイヤーのみをマッチング対象とすることが可能だ。残念ながら、マッチング時間が長くなりやすいというデメリットがある。また、不正行為の性質が明らかになっていないため、クロスプレイをオフにしても“乱入”が発生する懸念も存在する。
いずれにせよ、コミュニティの報告が事実だとすれば、比較的安全だと思われていた『Apex Legends』PS4版マッチングに、チーターの手が及ぶという由々しき事態となる。今のところ被害は限定的と見られるものの、今後拡大していく可能性は大きい。運営元Respawn Entertainmentの早急な対応が願われる。