『FF14』の各地に暗黒騎士たちが集う。「ベルセルク」作者である三浦建太郎氏の訃報をうけ、哀悼の意を捧げる光の戦士たち
『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)にて5月20日、海外サーバーを中心として「暗黒騎士」に着替えたプレイヤーたちが次々と集まっている様子が、Twitterやredditといった各種サイトにて報告されている。同日に発表された、漫画「ベルセルク」の作者である三浦建太郎氏の訃報が発端となっているようだ。
【UPDATE 2021/5/21 0:25】
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「ベルセルク」は中世ヨーロッパを舞台とした剣と魔法のダーク・ファンタジー漫画作品である。その連載は1989年からはじまり、30年以上にわたる長い連載の中で二度のテレビアニメ化、劇場アニメ化もされている。累計発行部数は世界で5000万部を超えており、国内外で高い評価を受けている人気作だ。しかし5月6日に、作者である三浦建太郎氏が急性大動脈解離のため死去。5月20日になり、白泉社より公に発表された。
「ベルセルク」はそれ以降のファンタジー作品へ多大な影響を与えた作品であり、ファンタジー作品における「大剣をもった剣士」というキャラクター像が確立されたのは「ベルセルク」からといっても過言ではないだろう。『ファイナルファンタジー』シリーズにおいても、人気作である『ファイナルファンタジーVII』の主人公クラウドがバスターソードを担いでいる。フロム・ソフトウェアの人気作『DARK SOULS』シリーズでは、随所に「ベルセルク」のオマージュとみられる要素が散見される。
『FF14』の暗黒騎士もまた例外ではなく、身の丈ほどの大剣を片手でかつぎ、闇属性をモチーフにした魔法を扱うジョブとなっている。暗黒騎士を好むプレイヤーの中には「ベルセルク」をきっかけにして大剣をふるうジョブへの憧れを抱くようになったプレイヤーも少なくはないはずだ。そして今回の訃報を受け、海外サーバーにて暗黒騎士たちが敬意をあらわして都市に集合している動画が、Twitterに投稿された。
たとえば、Balmungサーバーではウルダハ市内で一列に並んだ暗黒騎士たちの姿が確認されている。その列は『FF14』におけるプレイヤーの表示上限を優に超え、呪術師ギルド前からなんと冒険者ギルド前まで続いている。しかもそれだけではまだ足りず、二列目まで形成されている様子。これほど多くのプレイヤーが一堂に会して哀悼の意を捧げているというのだから驚きである。
特にBalmungサーバーは、以前からロールプレイが好きなプレイヤーが多く集まっているサーバーとしても有名。実際に冒険者ギルド内では冒険者になりきって会話をしているプレイヤーを目にすることができる。ロールプレイイベントのカレンダーが組まれているほどに、ロールプレイがさかんなサーバーなのである。
ディレクター/プロデューサーである吉田直樹氏も過去のインタビューで、『FF14』の暗黒騎士はそのイメージのひとつに「ベルセルク」があるということを言及していた(Game Watch)。中には「ベルセルク」ファンとして、暗黒騎士のロールプレイを楽しんでいたプレイヤーもいたのかもしれない。そのようなサーバー事情も重なってか、Balmungサーバーには哀悼のために数多くの暗黒騎士たちが押し寄せる結果となったようだ。
また、Tonberryサーバーではリムサ・ロミンサのエーテライトを囲むように暗黒騎士たちが集合している姿も報告されている。コミュニティを大切にする文化と、ゲームやマンガ作品への愛が重なった結果生まれた今回の集会。哀悼のために集まる暗黒騎士の様子は「#FFXIV」「#Berserk」といったTwitterのハッシュタグを追うことで確認できるだろう。突然の訃報に衝撃を隠しきれない人たちの悲しみの声からは、「ベルセルク」という作品が与えてきた影響の大きさと、同作および作者がいかに愛されてきたのかを伺い知ることができるかもしれない。
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