和風ステルスアクションRPG『忍屋』12年の制作を経て公開。忍びの少女が母を探して奮闘する、ツクールVX製フリーゲーム

イラストレーターとしても活動するナナブルク氏は5月13日、『忍屋』を公開した。『忍屋』は、忍びの少女が自身の力と向かい合う、和風ステルスアクションRPGである。

イラストレーターとしても活動するナナブルク氏は5月13日、『忍屋』を公開した。対応プラットフォームはPC。フリーゲームとして公開されており、ふりーむ!およびフリーゲーム夢現から無料でダウンロードできる。
 

 
『忍屋』は、忍びの少女が自身の力と向かい合う、和風ステルスアクションRPGである。本作の舞台は、忍びが必要とされなくなった安寧の時代。役割を失った忍びには、卓越した技術と知恵を使い、薬師や花火師として活躍する者もいれば、盗人に身を落とす者もいた。そんな中、主君を失った忍びを呼び集め、組織を築く者がいた。「忍屋」とはある男が築いた、報酬と引き替えに任務を遂行する忍びの集団である。

本作の主人公である椿は、生まれつき特異な力があり、力のせいで周囲から疎まれた過去をもつ少女。ある理由から諏訪の山中で暮らすようになった椿は、忍屋となり母を探すため、熟練の忍びである弦ノ助から業を教わる。一方、町では女子供が忽然と姿を消す、神隠し事件が多発していた。椿は、初任務をきっかけに神隠し事件と対峙するように。忍屋としての活動を通して、少女の成長と決別が描かれる。
 

 
椿は、忍屋の一員として町人などから依頼を受け、些細な出来事から大きな事件までさまざまな任務を遂行する。大小の任務の中には、山賊やならず者が関わる危険なものも。椿は、彼らとの直接戦闘も可能であるものの、正面からの戦闘よりも隠密行動が得意だ。存在を気取られると対等に戦うことになるが、気づかれていない状態では一撃で撃退可能。物陰に潜み、屋根の上に登り、心眼で遠くから様子を伺い、敵に見つからないように進んだり、もしくは見つけた敵すべてを殲滅したりしつつ目的地へ迫っていく。敵から見つかった場合のペナルティは一時的に攻撃されてしまう程度で、敵が見失ったあとには再度の奇襲も許容されている。操作に慣れれば、敵を手玉に取って翻弄できるようになり、爽快なステルスアクションが繰り広げられるだろう。

一方ボス戦では、椿は主にガードと攻撃を使用し、正面から敵と戦う。アクションゲームとしてはアクションが少なめであるものの、後半のボス戦などでは緊張感のある戦いが展開。道具によるステータス上昇や、二段ジャンプ・無敵時間付きの回避を忍術として覚えられる成長要素も用意されている。
 

 

 
椿や忍屋の仲間たちといったキャラクターや、任務で訪れることになる各マップの背景は、統一感のあるグラフィックで表現。忍びや侍、不思議なものが実在した封建時代の日本の世界が丁寧に描かれている。また、椿を含めた一部のキャラクターにはボイスが用意されており、任務中に盗み聞きをすると敵の会話がボイスつきで再生されるなど、演出にも力が入れられている。公称プレイ時間は、3時間から6時間程度。見どころは和風の世界や、椿の成長などを描いたストーリー。または爽快なステルスアクション。「RPGツクールVX」を使用して開発されていながら、アクションゲームとして違和感なくプレイできることも本作の特徴だろう。
 

 
本作の開発は、ゲームデザインなどをナナブルク氏、プログラムをroana0229氏、サウンドを真時燦窮氏が担当している。本作が本格的に作り始められたのは2009年。ナナブルク氏のブログによると、2017年にはプログラマーの交代があり、そこからシナリオの改変やダンジョンマップ/イベントグラフィックの追加などもおこなわれ、12年の歳月を経て完成に辿り着いたそうだ。また、ナナブルク氏は副業でイラストレーターとして活動する人物で、本作以前には『Zetima』や『忍屋-shinobiya-』といったフリーゲームを公開している。
 

 
忍屋』は、フリーゲームとしてふりーむ!およびフリーゲーム夢現にて公開中。なお、ゲームパッドを使用する際には、ボタン配置の変更が推奨されており、少し特殊な変更方法が必要となる。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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