『Apex Legends』ボセックボウ・スピットファイア弱体化の背景について開発者が語る。なぜ強すぎる状態でリリースされたのか
『Apex Legends』の新シーズンを騒がせた武器について、開発者が実装の裏側を語っているようだ。Respawn Entertainmentは5月11日、本作において新たなアップデートを配信(関連記事)。新シーズン「英雄の軌跡」開幕後に発生していた各種バグが修正された。さらに開発チームは、2つの武器に対して弱体化を実施している。
そのうちひとつが、今シーズンより追加された武器ボセックボウ。実装直後からその強さが一部で批判を招いており、国内で「#弓おもんな消せ」のハッシュタグが拡散されるなどしていた。同武器はアップデートにより、最大チャージ時のダメージ減少をはじめ、いくつかの弱体化措置が講じられている。弱体化を受けたもうひとつの武器が、スピットファイア。こちらは、シーズン開幕時よりリコイルコントロール性能が低下する調整がとられていたが、最新アップデートでさらにダメージ減少や装弾数減少などの措置を受けることとなった。
一連の調整にまつわる背景が、開発者の個人Twitterアカウントにて語られている。まずはRespawn Entertainmentにてアソシエイトライブバランスデザイナーを務めるJohn Larson氏の投稿を見てみよう。まずボセックボウは、なぜ強すぎる状態でリリースされてしまったのか。Larson氏によれば開発チームは、同武器を最大ダメージ値70でリリースしてもいいのか否か議論を重ねたという。しかし議論のすえ70のままで実装。強力なダメージ値が採用された理由としては、まずプレイヤーらにいちどボセックボウを使う機会をもってほしいとの考えがあったためだそうだ。
本来、新たな武器に習熟することは簡単にはいかないもの。しかしボセックボウはその強力さゆえに浸透。「ロード・オブ・ザ・リング」の弓使いレゴラス(Legolas)にちなんで、「Legolas Legends」といえるほど弓が浸透したと、Larson氏は語っている。誰もが新しい武器に慣れ親しんだ状態となったため、次のフェーズとして武器のバランスを調整する段階に入ったとLarson氏は説明している。まずは強すぎるくらいでリリースして扱い方を学んでもらったのちに、ほかの武器との兼ね合いを調整するねらいだったというわけだ。
一方、スピットファイアの調整について見てみよう。Larson氏によればスピットファイアがここまで弱体化されたのは、ADS時の制御性が向上される前のシーズン5以来のことだという。スピットファイアの弱体化について考慮するとき、多くの人がマガジンサイズに触れる、とLarson氏は指摘。しかし同氏にしてみれば、マガジンサイズを調整することは“手抜き”だという。
なぜならLMGのマガジンサイズを全面的にいじることは、その個性をARに近づけてしまうおそれがあるからだ。この点について、Larson氏はより長期的な調整が必要だろうと指摘している。同氏は、LMGを他の武器種と差別化するためにより多くのことができるはずだと考えているとのこと。LMGの長所や短所を強化することで、よりARと区別させることができるという。よって、LMG全体としては、フラストレーションを減らすための、より大きな変更を施していくというのが開発チームの方針だ。
しかし、それはそれとしてスピットファイアの弱体化は必要。そこで、同武器のダメージを1ポイント下げることにより、これまで見過ごされてきたほかの武器の選択肢を考慮するのに十分な影響を与えることができるだろうとLarson氏は見立てている。Larson氏自身はスピットファイアがさまざまな局面でいまだに優れていることを認めつつ、腰撃ち時の精度やレレレ撃ち時の素早さから、フラットラインを好んで使用しているそうだ。
締めくくりにLarson氏は、もしも自身のスキルの伸び悩みに悩んでいるなら、ロビーに戻されたとき、どうすればもっとうまくできたかを素直に自己評価すべきだと語る。開けた場所でスピットファイアとタイマン勝負する場合は大抵負け戦になるだろう、とも述べている。Larson氏自身も本作をプレイ中、武器・レジェンド・チームメイトのはたらきなどのせいにして、自己責任から逃れたい思いと格闘することはあるそうだ。ボセックボウやスピットファイアの強みを取りのぞくことは、そうした弱み(言い訳したくなる気持ち)をゲームから取りさることにもなるだろうとしている。
ユーザーから大きな注目を集める2武器が弱体化を受けることとなった今回の調整。対戦環境がどのように変化していくか、引き続き注目していきたいところだ。