『Apex Legends』開発者が、「あのホップアップ」削除について経緯を説明しているようだ。本作は4月30日にパッチノートが公開され、新シーズン「英雄の軌跡」が間近に迫っている。ハボック強化やスピットファイア弱体化などの報せが飛び交う中、一部のユーザーに刺さったのはホップアップ「ハンマーポイント弾」の削除だろう。“最弱武器コンビ”の救世主ともいうべきアタッチメントが、姿を消すことになる。
ハンマーポイント弾は、P2020およびモザンビークに装着可能なホップアップだ。シーズン3の登場以来、長らく戦場で活躍してきた。その存在意義といえばなんといっても、「ハズレ武器」を戦力へ変えてしまう有効性だろう。P2020とモザンビークは、いずれも『Apex Legends』においてパワーカーブ最底辺に位置する武器。しかし両者はハンマーポイント弾を装着することで豹変する。
シールドを持たない敵へのダメージが大きく上昇し、モザンビークなら全弾命中すればボディショットでも一発102のダメージ。P2020でも2～3発当てればほぼ確殺を狙える破壊力を発揮する。メイン武器で相手のシールドを割り、ハンマーポイント弾を装着したセカンダリでトドメを刺す、という戦法は有効な手段のひとつとして知られてきた。何より、「最弱武器を変貌させる」というロマンが魅力のホップアップ。しかし今回ハンマーポイント弾が削除されることで、落胆したモザンビーク・P2020支援者は少なくないだろう。
本件について、『Apex Legends』にて武器周りの調整を担うAmusedApricotことDavid Bocek氏が反応を寄せている。ハンマーポイント弾はBocek氏としてもお気に入りのホップアップのひとつ。しかし開発チームとしては今回、モザンビークとP2020のベースパワーを底上げしたいという意図があったそうだ。実際パッチノートを見ると、モザンビーク は装弾数が4発から6発に増加。P2020もダメージ値が15から18に増加、発射速度が8.5から6.25に低下と、確かに強化を受けている。この強化が、ハンマーポイント弾退場のきっかけとなったようだ。
ハンマーポイント弾は、ハズレ武器を戦力に変える有用なホップアップだ。しかし狙って使おうとなると、ハイリスク・ハイリターンを覚悟すべき選択肢でもある。たとえば先にP2020を拾ったとして、首尾よくハンマーポイント弾を見つけるまで、弱いままのP2020を携行し続けるべきか否かという問題がある。また後からハンマーポイント弾を見つけたとして、すでに所持しているフラットラインやヘビーアモを捨てて、改めてモザンビークを探し出す必要があるだろうか。ハンマーポイント弾とP2020を立て続けに見つけるという限定的なシチュエーションのために、インベントリを犠牲にすることが得策かどうかは悩ましい問題である。
もっといえば、たとえ両者が揃ったとして、ハンマーポイント弾を活用する前にうまくシールドを割ることができるだろうか。あるいは、相手はモザンビークやP2020が有効な距離にいるだろうか？ ハンマーポイント弾は確かに有効なホップアップではあるが、実際に活用するにはかなり限定的なシチュエーションを狙わなくてはならないという弱点があったのだ。このトレードオフが、同ホップアップの使いこなし方を決める肝となっていた。しかし、新シーズンではモザンビーク・P2020ともベースパワーが底上げされている。すると結果的に、ハンマーポイント弾の弱点も実質無くなってしまうわけだ。「弱い武器を戦力にする」ホップアップが、「そこそこ使える武器をさらに戦力にする」性能になってしまうのである。
開発チームにおいて、しばしばある武器や要素の性能を指して「シャープである」との表現が使われるそうだ。それは、非常に強力な長所をもっているのと引き換えに、無視できない欠点も備えていることを意味する。ハンマーポイント弾にとって「シャープであること」、すなわち装着後の強さとモザンビーク・P2020の弱さがトレードオフである性質は、核というべきコンセプトだった。しかし、新シーズンではもはやその魅力が感じられない。「弱武器強化」のロマンを背負っていたハンマーポイント弾は、弱武器が弱武器ではなくなる予定であるがゆえに、戦場を去るに至ったのだ。
とはいえ『Apex Legends』では、いちど削除されたホップアップがふたたび実装されることも珍しいケースではない。Bocek氏はハンマーポイント弾について、良い方向を模索中だと伝えている。果たしてロマンのアタッチメントが復帰することはあるのか。そして救世主なきモザンビークとP2020は、独り立ちできるのか。『Apex Legends』新シーズン「英雄の軌跡」は、現地時間の5月4日開幕予定だ。
