『スーパーマリオ』の「フィンゴア」なる架空キャラクターの人気が爆発。都市伝説が生んだおばけ
とあるTwitterアカウントが、実在しない『スーパーマリオ 』キャラクターを投稿した。最初は単なるジョークのひとつだったようだ。しかしそのキャラクターはわずか数日間でTwitter上において大きな拡散を見せ、一部ユーザーからはまるで実在しているかのような扱いをうけている。Polygonが報じている。
発端は、さまざまなゲームのジョーク情報を投稿するTwitterアカウント、CutVideoGameによる投稿だ。ニンテンドーDSソフト『New スーパーマリオブラザーズ』において未使用のキャラクターが発見されたとしている。しかし結論から言うと、これはCutVideoGameが作り上げたまったく架空のキャラクターである。
同投稿にてCutVideoGameは「『New スーパーマリオブラザーズ』のファイル内に、”scripulous_fingore”と称される、ゲーム内で動作可能な未使用のおばけ敵キャラが存在した」としており、「インタビューでこの敵キャラについて聞かれた宮本茂氏は質問を無視し、いつになく動揺しているようだった」とのべている。繰り返すが、これらの証言は架空であり、“ジョーク”である。
しかし、生み出された架空キャラクター、通称「Fingore(フィンゴア)」の歩みは単なるジョークでは留まらなかった。“顔と手だけ”といういかにも『スーパーマリオ』に登場しそうなルックスも手伝ってか、投稿はファンに面白がられ拡散。さらにほかの『スーパーマリオ』シリーズにもFingoreの魔の手が伸び始めた。
ひとり歩きし始めるFingore
その後、影響力のあるユーザーがさまざまな『スーパーマリオ』シリーズに登場するFingoreを“紹介”し始めたのだ。当然、これらのスクリーンショットは合成や改造によるもの。しかし投稿者の多くは冗談めかして、Fingoreは実在する未使用キャラである、という前提のもと投稿をおこなっているのだ。
さらには、ゲーム内に留まらずFingoreが登場する『スーパーマリオ』カレンダーの画像を投稿するユーザーも。じっくり見れば、ほかのキャラクターとくらべて線が細すぎたりと、違和感が生まれている。しかしながら、ひと目見た印象はよくマリオキャラクターたちに馴染んでおり、「ひょっとして本当に居たのかも……」と思わせる仕上がりだ。
Fingoreの実在キャラ扱いも、ジョークの一環なのだろう。しかしジョーク投稿を目にしたユーザーのなかには「本当に実在した」と誤解する者もいたようだ。『スーパーマリオ』シリーズの研究で著名なTwitterアカウントMarioBrothBlogが、ファンからの問い合わせ を受けて「Fingoreはファンメイドのキャラクターであり、いかなる公式な『スーパーマリオ』の作品にも登場しない」とコメントを出す事態になっている。
まるで都市伝説のような広まり方をしているFingoreは、ミームとしても人気を集めているようだ。あるユーザーはリズムゲーム『Friday Night Funkin’』にFingoreを登場させた。ゲーム中で表情豊かに動くFingoreには一見の価値がある。ほかにもFingoreのファンアートなども散見される。
突如彗星のごとくあらわれ、『スーパーマリオ』ファンを中心に創造意欲を刺激しているFingore。記事執筆現在もSNS上では海外ユーザーによってファンアートなどが投稿されており、しばらく人気は続きそうだ。念の為繰り返すがこのキャラクターは実在せず、その住処はファンコミュニティの心の中である。
この都市伝説めいた興味深いムーブメントは、今後どのように発展していくのだろうか。「Fingoreなるキャラはそもそも存在しない」ことを留意しつつ、その行く末を見守っていきたい。