『原神』運営元miHoYoの本社が襲撃されたと海外メディアが報道。『崩壊3rd』コンテンツへの不満が動機か
中国のメディア红星新闻は4月25日、『原神』『崩壊3rd』の開発元であるmiHoYoの創立者2名に対し襲撃を企てた人物が逮捕されたと報道した。红星新闻は、犯人の動機はmiHoYoが提供するゲーム『崩壊3rd』の内容への反発ではないかと報じている。
红星新闻の伝えるところによれば、miHoYo創立者である劉偉(Liu Wei)氏と蔡皓宇(Cai Haoyu)氏を狙う人物がmiHoYo本社に 襲撃を試みたところを、miHoYo社管区の警察官が逮捕したとした。所轄の警察署は红星新闻の取材に対し「まだ事件については公式に発表しておらず、詳細は近いうち伝える」と語ったとしている。
红星新闻は犯人の動機について、『崩壊3rd』グローバル版におけるコンテンツに対する不満だと伝えている。『崩壊3rd』グローバル版では特定キャラクターが“バニーガール”に扮するキャンペーンが展開されていた。3周年を記念したイベントとして、キャラたちが露出度の高いバニーガールコスチュームを着用するという内容。カジノを絡めたストーリーが展開される予定で、それに沿った演出だったという。
グローバル版と中国版には内容の違いがあり、バニーガールはグローバル版のみに実装された要素なのだ。中国では、セクシャルなコンテンツについては厳しく取り締まられる傾向がある。それゆえに、グローバル版と中国国内版の表現に差異が生まれるというケースが起こることもある。
これに一部の中国版ユーザーが「キャラクターに対する冒涜だ」として反発したという。その理由はさまざま。中国版とグローバル版の差異についての批判。つまり中国版にもバニーガールを出せという意見だ。反対に、恋人だと思っていたキャラクターが海外版で露出度の高い衣装を着ていたことに対する憤りなどがWeiboで確認できる。中国版ユーザーのmiHoYoに対する反発はインターネット上での言論だけにはとどまらなかったようだ。4月上旬には、miHoYo本社前において、一部ユーザーが横断幕を掲げるといった抗議活動をおこなっていたと報じられている。
こうした反発を受けたmiHoYoは4月22日、「不適切だった」として中国版とグローバル版のプレイヤーに対して謝罪し、グローバル版における問題のコンテンツの取り下げをおこなった。miHoYoは、国ごとにイベント実施時期が異なっており、中国以外での運営は各地の会社に任せていると説明。イベント実施時期が違っただけで、中国版でもバニーガールコスチュームは登場させる予定であったともとれる、釈明をしていた。
では、この取り下げによって、騒動は収まったのかというと、そういうわけでもない。海外掲示板Redditでは、『崩壊3rd』の騒動に関するスレッドで、英語圏のユーザーが今回の騒動に対する意見を交わしている。投稿者は、本件を含めてmiHoYoが中国ユーザー優先で運営を進める方針に疑問を提起。グローバル版と中国版で行われたユーザーへの補填や限定コンテンツの格差を挙げ、中国版ユーザーを優遇しすぎていると批判的に述べている。
つまり、冒頭で述べた報道が正しければ、miHoYoは多大な批判を受けてまでグローバル版コンテンツを取り下げたにもかかわらず、中国ユーザーの怒りは収まらず、中国同社の重役に矛先が向かってしまったわけだ。しかし、ゲームにいかなる不満を持っていても、犯罪行為による抗議は許されるものではないだろう。事実関係やmiHoYoの対応など、今後の発表に注目したい。