『Dead by Daylight』、フックに吊られたときのアクションが「連打」から「スキルチェック」に変更へ。身体アクセシビリティ配慮のため

 

Behaviour Interactiveは4月7日、『Dead by Daylight』にてサバイバーがフックに吊られたときの抵抗手段を、ボタン/キーの連打からスキルチェック方式に変更することを発表した。新しいもがきアクションは次回パブリックテストにて実装予定だという。 
 

https://twitter.com/deadbybhvr_jp/status/1379464044990586882

 
ダウンさせられたサバイバーがフックに吊るされると、体力ゲージが100%の状態から徐々に減少していく。この状態で体力が半分になると耐久フェーズに移行し、DUALSHOCK 4では×ボタン、キーボードではスペースキーを連打して「もがき」が必要となる。しっかりもがけば生存の可能性があるが、一定時間が経過するとフックに貫かれ絶命してしまう。サバイバーが戦線に復帰できるか昇天してしまうかの分かれ道を決定する、重要な局面で必要とされるのが連打による入力だったわけだ。 

しかしこの操作について、批判の声もあった。身体にハンデを負った人々の中には、連打入力が難しいユーザーも存在するからだ。関節炎や筋ジストロフィーを患っているプレイヤーは、連打に必要な腕の筋力を維持することが難しかったり、無理に力を入れることで腕を痛めてしまったりする。したがって身体ハンデのあるユーザーはフックに吊るされた際、体力が半分残っていても落命せざるを得ない状況に陥ってしまい、サバイバープレイにおいて非常に不利な状況に置かれていたのだ。こうした指摘は海外掲示板Redditにて複数見られ、改善への要望が高まっていた。 

新たな入力手段においては、吊るされて体力が半分以下になると、発電機修理と同様にスキルチェックが出現する。回転するポインターのゲージを指定範囲内で止めることができれば生存時間を伸ばすことが可能。この場合、ボタン/キー入力はいちどタップすればいいだけだ。なおスキルチェックに失敗した場合は、体力ゲージが一定量減少するとのこと。 
 

 
『Dead by Daylight』におけるアクセシビリティの問題は、今年頭から特に高まっていた。Behaviour Interactiveは1月22日、色覚ハンデを負った人に向けたモードを実装すると発表。キラーとして相手を追跡するときに不可欠な「傷跡」のほか、従来のモードで赤く表示されてきた視覚情報やHUDのカラーについて調整できる機能を実装すると明かした。同機能は開発段階であり、しばらく明かされない予定だったようだが、リードデザイナーEthan Larson氏が色覚ハンデのある人を軽んずるような発言をしたことで批判が噴出(関連記事)。同氏の言葉がチーム全体の意向ではないことを示すため、開発中の色覚ハンデオプションの存在を明かすことに至った。この一件をきっかけに、『Dead by Daylight』における視覚以外のハンデに配慮したアクセシビリティにも注目が集まってきたといえる。 

ボタン連打やQTEによる入力は、ゲームの緊張感を高めるギミックのひとつ。しかし近年は同操作を無効化したり置き換えたりするオプションが設定できる場合が多い。たとえばアクセシビリティに力を入れるスタジオNaughty Dogは、2016年に発売した『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』にてボタン連打の代わりに長押しで対応できるオプションを追加。その背景には、あるハンデを負ったファンが直接UIデザイナーのAlexandria Neonakis氏にコンタクトをとり、『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』終盤でボタン連打操作が必要とされるため同作をひとりクリアできないことを訴えたことがきっかけにあったという(GameSpot)。 

ボタン/キーの連打からスキルチェック方式への変更は、ハンデをもったプレイヤーへの配慮が注目される中で実装される試みのひとつだ。一方、ユーザーからは賛否両論の意見が寄せられる。ある程度慣れたサバイバーは、連打中に逃走経路を検討したり、キラーの方角を見定めたりするため、スキルチェックに置換されるとそちらに気を取られてしまうとの意見もあがっている。幅広いユーザーがフェアにプレイできる環境の構築は優先事項だ。一方で、既存システムに親しんだプレイヤーからの声を聞く必要もある。フェアネスと遊びやすさのバランスを操作系統に落としこんでいけるかが、今後問われていくところだろう。新しいもがきアクションは、次回のパブリックテストでの実装が予定されている。