『The Last of Us Part II』なぜ凶器がゴルフクラブだったのか。物議を醸した衝撃シーンの真実
Naughty Dogが開発を手がけ、昨年6月にリリースされた『The Last of Us Part II』。高評価を得て数々のアワードを受賞する一方で、一部のプレイヤー間ではストーリーに対する否定的意見も根強く、賛否両論真っ二つに評価が分かれる作品だ。この度、本作の評価が分かれる要因のひとつと言える、あるムービーシーンについて新たな事実が明かされた。該当シーンで使われた凶器のゴルフクラブについて、クリエイティブ・ディレクターのNeil Druckmann氏がThe Washington Postに語った。
なお、本稿には重大なネタバレが含まれているため、『The Last of Us』および『The Last of Us Part II』を今後プレイする予定がある方、およびHBOによる実写ドラマ版を視聴予定の方はご注意いただきたい。
『The Last of Us Part II』は、前作『The Last of Us』の5年後を舞台とする物語。前作にも登場したエリーと新キャラのアビーの、2人の視点から重い復讐劇が描かれた。本作の評価を二分する要因のひとつが、「前作の主人公ジョエルが死亡すること」だ。
物語の序盤、プレイヤーが見ていることしかできないムービーシーンで、ジョエルは惨たらしい死を迎える。彼に恨みを持つアビーとその仲間たちによって拷問を受けた後、殺されてしまうのだ。その際、アビーが使った凶器がゴルフクラブであった。
ゴルフクラブは、本作に否定的な意見を持つプレイヤー間で、本作を揶揄するような目的で話題となった後、ミームとなって広まっていった。今となってはNeil Druckmann氏だけでなく、共同脚本家のHalley Gross氏などもゴルフと本作を結びつけたジョークを発している。最近では、『マリオゴルフ スーパーラッシュ』の発表をきっかけに、前述の2名とアビー役のLaura Bailey氏などが、Twitterにて掛け合いを楽しんでいた。
「なぜ凶器がゴルフクラブだったのか」という質問に対し、Neil Druckmann氏がThe Washington Postに語った内容によると、2つの理由があるようだ。1つは、エリーとアビーの差違をつけるため。そしてもう一方は、Druckmann氏が経験した事故に関わっているという。
該当シーンについて、構想段階では凶器がナイフであったことも明かされた。「アビーがジョエルの背中からナイフを刺し、ひねる」といったシーンを予定していたようだが、脚本制作の終盤に変更したという。
その理由として、「ナイフはエリーのイメージが強いため、違いをつけたかった」という趣旨の回答をしている。たしかに、エリーは前作から母親の形見のナイフを使い続けている。シリーズ2作を通して、エリーはナイフをクラフトする必要がなく何度でも使えるため、プレイヤー側としても、ナイフといえばエリーのイメージが強い方も多いのではないだろうか。
エリーのイメージが強いナイフから別の凶器へ変更することになり、Druckmann氏の過去の経験からゴルフクラブが選ばれたようだ。Druckmann氏は16歳の頃、事故で頭部にゴルフクラブが当たり、30針も縫う大怪我を負った。今でも、頭蓋骨にへこみが残っているという。
当時、Druckmann氏の友人がゴルフに熱心で、その友人に誘われて行った練習場で起きた事故だそうだ。やり方を教わるために友人の後ろに立って見ていたところ、バックスイングがDruckmann氏に当たってしまったというエピソードを披露した。また、ミームになるほど話題になったにも関わらず、「なぜゴルフクラブだったのか」という質問を受けたのは今回が初めてだったようだ。
『The Last of Us Part II』は、PlayStation 4向けに発売中。また、『The Last of Us』はHBOにて実写ドラマ化も決定している。Naughty Dogが現在取り組んでいるプロジェクトについては、現時点では何も語れないものの、できるだけ早く情報をお届けするとDruckmann氏は伝えている。