警視庁は2月26日、スクウェア・エニックスの社員に対して殺害予告を送ったとして、埼玉県松伏町に住む39歳の男性会社員を、脅迫と威力業務妨害の疑いで逮捕したと発表した。朝日新聞などが報じている。
容疑者は5年ほど前からモバイルゲーム『星のドラゴンクエスト』をプレイしていたという。昨年9月頃から、問い合わせフォームを使ってスクウェア・エニックスにメールを送り始めたとのこと。「どうして勝てない」「どうしたら勝てる」といったメールを送っていたが、反応がなかったためエスカレート。昨年11月2日~19日まで「関係者をマジで殺す」などと書いたメールを37回にわたって送信し、脅迫したとのこと。
この脅迫行為は、スクウェア・エニックスのイベントに被害を及ぼしていた。同社は11月20日に「星のドラゴンクエスト モンスター闘技場 生放送(第5回)」の放送を予定していたが、出演者および運営に関わるスタッフの安全を最優先に考慮し一時的に中止。警察にも相談し被害届を提出していた。それが今回の逮捕につながったわけだ。
スクウェア・エニックスが脅迫行為を受けたという事件は、ここ2年でも前例がある。2019年7月には、同社のスマートフォンゲームをプレイしていたユーザーが、公式ホームページにて「クソゲー金返せ」「ふざけるな。乗り込むぞ。京都アニメーションの再現したろか」といったメールを送りつけ、威力業務妨害の疑いで逮捕されていた。
さらに8月に入ってからも被害は続く。アーケードゲーム『星と翼のパラドクス』を遊んでいた宮崎県の男が、スクウェア・エニックスに「殺してやろうか?」などという脅迫メールを6回にわたって送りつけたことにより、威力業務妨害の疑いで逮捕された。今回の一件と共通するのは、脅迫メールを送付しイベントを中止させたこと。昨年8月の脅迫においては、8月17日(土)・8月24日(土)に東京・横浜・名古屋・福岡の4都市で開催される予定だった『星と翼のパラドクス』イベントが中止に追い込まれた(関連記事)。
今回の脅迫においても、「星のドラゴンクエスト モンスター闘技場 生放送(第5回)」を中止に追い込んでいる。同オンラインイベントは延期というかたちとなり、翌月12月7日には番組が放送された。しかし放送冒頭にて、『星のドラゴンクエスト』運営プロデューサーの永野氏が「みなさんにご心配をおかけしました」とコメント。脅迫に対して警察が動いていることやイベント実施場所のセキュリティ面の対策を強化したと報告。「低予算番組だったが予算が上がってしまった」と永野氏は冗談を言いおどけているが、どこか痛ましくも見える。スクウェア・エニックスに与えた打撃は少なくなかっただろう。
振り返ってみると、スクウェア・エニックスは2年に3度脅迫被害を受けていることが明るみになっている。同社は多岐にわたるモバイルゲームを展開しており、プレイヤー層も幅広い。層が幅広ければいろんなタイプのお客を相手にすることになる。ほかの会社でも同様の事例が発生している可能性はあるが、スクウェア・エニックスには脅迫が数多く届いており、同社がそうした危険に注意しているのは確かだろう。
スクウェア・エニックスは12月1日より恒久的な在宅勤務制度を導入している。とはいえ、命を奪うと予告されていれば、どこで働いていようと不安は同じだ。脅迫行為をした結果、どのような処罰を受けるのか。行為の罪が報道を通じて認識され、抑制されることを望みたい。
【UPDATE 2021/2/26 20:50】
タイトルおよび本文を「2年で3件の事例」へと修正