『Bloodborne』プロデューサー山際眞晃氏らがSIE JAPAN Studioを退社へ。日本のSIE 著名クリエイターの去りゆく足音止まず

『Bloodborne』などのプロデューサーを務めた山際眞晃氏が、SIE JAPAN Studioを退社することが明らかになった。同スタジオを退社するクリエイターが続出している。

『Bloodborne』などのプロデューサーを務めた山際眞晃氏が、SIE JAPAN Studioを退社することが明らかになった。同氏は2月25日、自身のTwitterアカウントを通じて「2月末でSIE JAPAN Studioを離れることになりました」と報告。そして「次の場所でもゲーム制作を頑張ります」と、新たな場所で引き続きゲーム開発に携わっていくことを伝えている。


山際氏は2009年にSIEの前身となるSCEに入社。2012年にはPS3向けに発売された『TOKYO JUNGLE』のプロデューサーを務めた。その後は2015年にPS4向けに発売された『Bloodborne』、2018年にPSVR向けに発売された『Déraciné』と、フロム・ソフトウェアとの共同開発による作品のプロデューサーを務めている。SIE JAPAN Studioにとって、山際氏の功績は大きいものだろう。


また同スタジオで長らく映像制作に携わった曽我部亮氏も、2月末をもってSIE JAPAN Studioを退社すると報告している。曽我部氏は在籍した14年間で400以上のタイトル、約5000本以上の映像制作に関わったという。今後は新天地にてゲームと映像の橋渡しをすべく、引き続き映像制作に携わっていくようだ。


山際氏や曽我部氏をはじめ、昨今のSIE JAPAN Studioでは在籍する著名クリエイターがスタジオを離れる動きが散見される。昨年9月末には、『SIREN』『GRAVITY DAZE』シリーズを手がけた外山圭一郎氏が退社。同作リードゲームデザイナーの大倉純也氏や、『SIREN』デザイナーや『人喰いの大鷲トリコ』プロデューサーを務めた佐藤一信氏も同時期にスタジオを離れた。

なお同クリエイター陣は、昨年12月に外山氏を代表としてBokeh Game Studioの設立を発表。現在3年後のリリースを目指して「ホラー系寄り」のアクションアドベンチャーの開発中だ(関連記事)。


また昨年12月末には、『Bloodborne』や『ASTRO BOT RESCUE MISSION』、PS5版『Demon’s Souls』など多くのタイトルに携わったプロデューサーである鳥山晃之氏がSIE JAPAN Studioを退社している。鳥山氏においても、新規IP創出への挑戦を明らかにしており、今後も引き続きゲーム業界に携わっていくという。

このように、ヒットタイトルを手がけてきたクリエイター陣が去りゆく足音が止まないSIE JAPAN Studio。外山氏は自身が連載するコラムにて、スタジオから独立することとなった経緯について触れている(GamesIndustry Japan)。そこでは「SCEから本社を米国に移したSIEへと変わって以降,組織的に大きな変化が続き,そこに新型コロナの混乱も拍車をかける。目まぐるしく状況が変わっていく中で自身にも大きな変化が必要という焦燥感は一層大きくなっていた」と綴られている。スタジオ内を巡る組織体制の変革が続いており、その影響で内部でも人の入れ替わりが出ているのかもしれない。


同スタジオが誕生したのは1993年11月。PlayStationプラットフォームのゲーム開発を担うSIEワールドワイドスタジオの中でも歴史は古く、現在に至るまでにさまざまな作品を生み出してきた。The Game AwardsやBest of E3、日本ゲーム大賞など、輝かしい栄誉を飾ったタイトルも多い。

また最近では、『ゴースト・オブ・ツシマ』や『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』といったタイトルのように、質の高いローカライズ、カルチャライズも国内ユーザーから支持されている。PS5にプリインストールされている『アストロプレイルーム』を、JAPAN Studio内のASOBI!チームが開発したことも記憶に新しい。

今後も新たなプラットフォームに向けて、質の高いローカライズやカルチャライズ、ゲーム開発は続けられていくことだろう。とはいえ、著名クリエイターらが新天地へと旅立つ意向を立て続けに示している状況は気にかかるところだ。今後のSIE JAPAN Studio内の動向に注目していきたい。

Tetsuya Yoshimoto
Tetsuya Yoshimoto

ニュース担当。国内を中心に日々トレンドを探求しています。新しいものや可愛いものが好き。

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