『Apex Legends』レジェンドの勝率/ピック率に異変。シーズン8において、レイスはもはや“不動の1位”ではない

 

Apex Legends』におけるレジェンドの勝率とピック率について新たな情報が提供された。ピック率については昨年12月、勝率については今年1月にトップ5が明かされていたが、どうやらその顔ぶれに変化が起きたようだ。ここ数日の動きについては開発チームとしても正確な原因を把握しかねているようで、ゲームデザイナーのDaniel Zenon Klein氏はその激しさを「非常に騒々しい」と表現している。 

一連の情報は、コースティックの調整方針について議論するスレッドにて明かされた。Klein氏といえば今年1月、コースティックについて「ゲーム内でもっとも弱いキャラクターのひとり」と発言したことで物議を醸していた。このときKlein氏が実際にどのようなデータを見ていたか、詳細が語られている。昨年12月1日の時点で、コースティックのトリオにおける勝率は、カジュアル・ランクマッチ合わせて4.8%だったという。数値は12月中旬のパッチにより5.0〜5.1%まで上昇したが、それほど有意な変化とは見なされていなかった(勝率の基準値は5%とのこと)。また遭遇勝率(encounter win rate、ノックダウンした数とノックダウンされた数を比較した割合)ももっとも低い成績だったという。 

件の「コースティックは弱い」発言をした際に参照していたのは、この時点でのデータだったようだ。コースティックの戦績が急上昇したのはそれ以降のことで、現在の勝率は平均して5.3〜5.4%程度と高い記録になっている。ピック率は従来より中程度を維持してきたが、こちらも上昇した結果、現在は5番目の高さを誇っているとのことだ。現在の成績に影響を与えた要素のひとつとして、Klein氏は「ヒューズの登場」を挙げている。
 

 
さらにもうひとつコースティックのピック率向上の原因として、ある“異変”が挙げられている。それは「レイスの転落」だ。レイスといえば、ゲーム初期よりピック率・勝率トップに君臨し続けてきたレジェンド。制御が効かないほどの支持率をキープしているとして、一時期は開発チームの悩みの種としても語られてきた。ところが、そんな不動の人気を揺るがす事態が起こったのがシーズン7だ。新たに強力なレジェンド・ホライゾンの出現により、レイスは勝率トップを譲り2位の座に甘んずることに。時代はレイス・ホライゾン二強のステージへ移ったかに思われた。 

ところがレイスのピック率について意外な事実が明かされている。現在のレイスのピック率は2番目どころか、上から4番目に甘んじているのだという。過去のポッドキャストにて、「できるだけ能力に手を加えないまま弱体化させたい」という意図が語られてきたレイス(関連記事)。その宣言どおり、シーズン8ではヒットボックスが拡大する調整が加えられている。現シーズンでのピック率低下は、その苦肉の策の成果ともいえるかもしれない。ポッドキャストにて「当たり判定の調整で折り合いがうまくつけば、能力を強化することも視野に入れたい」と語られてきたことから、今後は弱体化だけでなく強化も検討されるかもしれない。 
 

 
ところでこのように勝率やピック率の情報を小出しにされると、当然全レジェンドの戦績を知りたくなってくる。スレッドでも同様の問い合わせが寄せられたが、Klein氏はデータをむやみに表に出せない事情について次のように語っている。いわく、レジェンドの統計は「パンドラの箱」であり、いちど公開してしまえば取り返しのつかないものだという。というのも、いずれかのレジェンドの成績が優秀/劣っているとわかってしまえば、必ずプレイヤーの認識や言説に影響を与える。あるレジェンドの勝率が低いとわかれば、上級者がそのキャラクターを忌避するようになるだろう。そうするとそのレジェンドの勝率はさらに低迷する……といった負のスパイラルを招きかねない。またピック率の偏りは、一部ユーザーの批判の標的となりやすいことも原因としてあるようだ。 

Klein氏いわく、ライブサービスゲームは「非常に複雑な獣」であるという。その言葉どおり、今回明かされた勝率やピック率のデータも流動的に変化していくだろう。すべてのデータを開示することは上記の事情から難しいようだが、開発者から小出しにされるヒントを注視しておくことが戦場の“現在”を見極めるポイントとなるかもしれない。