『オーバーウォッチ』において、ある実験的なバランス調整がおこなわれる予定だという。Overwatch League公式Twitterにて明かされた。来たる3月27〜28日、エクスペリメンタル・モードにてコミュニティトーナメントを開催。本トーナメントでは、「専門家」がパネルとしてルールを決定すると伝えられている。この告知について、海外掲示板RedditにてBlizzardにおけるOverwatch Esports責任者のひとりであるJon Spector氏が詳しくコメント。開発チームは数名のプロゲーマーおよびストリーマーに依頼し、トーナメントのバランス調整等を一任するという。すなわち、ユーザーが調整したバランスにてトーナメントを開催するという試みである。
エクスペリメンタル・モードは昨年2月よりプレイメニューに追加されたカード(関連記事)。安定性のテストを目的としたPTR(パブリック・テスト・リージョン)とは異なり、試験的なバランス調整・ルール・モードを導入しフィードバックを募る目的で利用されてきた。これまでにはトリプルダメージ編成などが実験的に実装されてきた。
今回の試みにより提案されたバランス調整が、実際のライブゲームに反映されるかどうかは不透明。ユーザーからの問い合わせに対しSpector氏は、「仮にゲンジのダメージ3倍、ゼニヤッタのHP2倍なんて提案があったとしたら、それはないでしょう」とジョーク混じりに返している。極端な調整案は別として、ある程度コミュニティが納得のいく調整が飛び出せばメインゲームへの実装も夢ではないかもしれない。
本件に関し、すでに界隈のコンテンツ・クリエイター複数名が関心を寄せている。eスポーツチームFlorida Mayhemに所属するSamitoことSam Dawahare氏は、「履歴書はどこに出したらいい?」と参加への強い意欲を示した。またストリーマーのSVB氏も、コミュニティトーナメントの開催に対し好意的な反応。同時に、これらの試みが楽しいだけでなく、単なる話題づくりにとどまらないことに期待したいと述べた。
『オーバーウォッチ』はもともと、ヒーローメタの変動について意欲的に取り組んできた。昨年には「ヒーロープール」を実装し、1週間ごとに使用可能なヒーローの制限が変化するルールを適用。メタを強制的に流動させることで、力関係の膠着を崩すことを企図していた。ただしその後、エクスペリメンタルカードによる積極的テストを経て頻繁にアップデートを加えることで、メタの固定化を防げると判断。以来、ヒーロープールは無期限で廃止となった(関連記事)。バランス調整にプロゲーマーの意見を取り入れる例などは見かけるが、バランス調整をプロゲーマーやストリーマーに一任するというのはかなり意欲的な試みといえる。来たる3月、どのような著名人がどんなアイデアを生み出すのか注目したいところだ。