人気ゲームのディレクターが「大作ゲームの誇大広告」に激怒、名指しで批判し波紋を呼ぶ。当人は謝罪も議論の波止まず

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『オリとくらやみの森』と『Ori and the Will of the Wisps』を手がけたMoon Studiosのクリエイティブ・ディレクターThomas Mahler氏の発言が議論を呼んでいるようだ。同氏は2月3日、海外フォーラムResetEraに「なぜゲーマーは“インチキなセールスマン”を信じ、また大目に見たがるのだろうか」と題したスレッドを立てた。投稿では、『Fable』シリーズなどで知られるPeter Molyneux氏、『No Man’s Sky』を手がけたSean Murray氏、そして『サイバーパンク2077』のCD PROJEKT REDを例に挙げて持論を述べている。


Mahler氏はまずPeter Molyneux氏について、作品の内容を説明する代わりに、自身の理想とゲーマーが興奮する言葉を並べる達人であるとコメント。Sean Murray氏も同様に、『No Man’s Sky』の発売前には実際に存在しない要素を宣伝し、ゲーマーからの注目を浴びてきたと指摘する。そしてCD PROJEKT REDに関しても、『サイバーパンク2077』にて巧みな誇大広告をおこない、ゲーマーを欺いたと主張している。

実際のところ、Molyneux氏が作品の実際の仕様を超えて語る人物であることは有名だ。『Fable』では発売後に謝罪に追い込まれた。『No Man’s Sky』については、Murray氏の説明やトレイラーなどの事前情報と、実際の製品内容が異なっていたことが話題となり、当時SIEの吉田修平氏は「Sean Murray氏は製品版よりも多くの要素をプロモーションしてしまった」と述べている(関連記事)。『サイバーパンク2077』に関しては、まだ記憶に新しいところだろう。コンソール版のパフォーマンスを伏せたまま発売したほか、多くのバグや最適化不足などが指摘されている。

Mahler氏は、そうした誇大広告にゲーマーはいつも騙され、業界のジャーナリストも毎回嬉々としてそれに付き合っていると述べる。事前情報とは違っていても楽しい作品として受け入れられることはあり、また『No Man’s Sky』についてはアップデートを重ねて評価を盛り返している。ただ同氏は、そうした結果論ではなく、製品について嘘をつくことは許されるべきではないと主張。また開発者としても、公平に競争できる環境を望むとしている。


このThomas Mahler氏の投稿に対しては、賛同する意見や、同様の状況があったほかの事例を挙げる者も見られる。一方で、作品やスタジオによってさまざまな事情がある中で、理想を実現できなかったからといって一括りにインチキ(snake oil)であると表現することや、それを許すことすらすべきでないのかなどと、困惑や反発の意見も寄せられている。

また、インディーデベロッパーの支援活動をおこなっているRami Ismail氏は、大企業の誇大広告については責任を追及すべきだが、『No Man’s Sky』でのSean Murray氏の例については事情が異なると指摘。PRの専門家ではないインディーのゲームデザイナーが、世間から突如大きな注目を浴びることとなった当時の状況から、意図的な誇大広告と同一視して糾弾することはやり過ぎであると述べている。

フォーラム内での議論を経て、Thomas Mahler氏は2月5日にコメントを発表。自身の投稿の真意は、業界が抱える問題について問題提起し皆で議論することにあったが、やや喧嘩腰であったことなど敬意や思慮深さに欠けていたとして、名指しした開発者たちに謝罪した。

Mahler氏はフォーラムに時折顔を出し、歯に衣着せない発言をすることで知られてきた。ResetEraで一般人として他ユーザーとの意見交換を好んでいることを考えると、ゲーマーとしての思いが強いのかもしれない。今回の投稿について、誇大広告は止めるべきであるという点については異論は少ないだろう。ただ、先述した個別の事情だけでなく、例に挙げた3者がいずれも唯一無二の作品を生み出していること、また他者を攻撃しながらも、同氏自身の作品が必ずしも完璧な状態でリリースされていたわけではなかったことなどから、反発を招く結果となってしまった。もっとも、大きな議論に発展したことで問題提起としては成功したともいえそうだ。

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