宇宙人狼ゲーム『Among Us』の開発元Innerslothは1月20日、開発ブログを更新。アップデート状況や今後の予定などを伝えると同時に、「なぜ開発が遅いのか」というユーザーの不満に回答している。確かに、昨年のThe Game Awardsにて発表されたAirshipマップは未リリースの状態。早い段階から対応を告知していたアカウント機能も完成に近づいているそうだが、「最終確認の後になるべく早く出す」との報告にとどまっている。ファンとしては新規コンテンツを待ち焦がれる向きもあるだろうが、ここで制作の裏話に耳を傾けてみよう。
『Among Us』は2020年、開発チームが予期していなかった大きな関心を集めた。その結果、制作環境は大きく変化したのだという。チームとしては、人員を増やし組織的に運営するかたちは望ましくなかった。とはいえ、2018年にリリースを終えとっくに開発が済んだと思っていた『Among Us』にふたたび取り組むのは大きな仕事。これまで以上に持続可能な運営体制を整える必要があった。そこで開発チームは、新たな環境を構築することだけに2か月を注力したのだという。結果としては、管理業務をサポートしてくれる外部パートナーと関係を結ぶことになったようだ。
もともとInnerslothは3名からなるスタジオであり、『Among Us』大ヒット後もただひとりの増員にとどまり4人体制での運営を続けている。しかし長期的に開発を続け、より雇用を増やすなら能率化は不可欠だった。したがって将来の開発環境への投資として、最近はもっぱらバックヤード整備の業務に当たっていたとのこと。直近ではNintendo Switch版をリリースし、Xboxにも対応予定と順調にプラットフォームを増やしてきた『Among Us』。それは裏を返せば当然、より多くのサポートや審査が必要になることでもある。すでに移植関係のパートナーからの助力を得ているものの、今後実施するアップデートがすべてのプラットフォームで適用できるように確認する手続きは必要だという。そのほか、法的な問題や会議、計画などチームだけでは管轄しきれない業務が山積しており、アップデートが遅れているというのが現状のようだ。
『Among Us』といえば、ブレイクが始まった昨年夏ごろよりインフラ構築に追われチームが疲弊する姿が伝えられていた(関連記事)。さらにスパムbotの発生に汚染され対処に追われるなど、かなり波乱の1年を過ごしてきたInnersloth。ファンとしてはこうした運営の苦労に理解を示す声もあり、コミュニティでは開発チームへの感謝を述べる投稿も見られる。
バイラル化により急激な脚光を浴びつつも、息の長い運営のためしっかり地盤を固めているというInnersloth。最近では『Among Us』モチーフのクリスマスセーターを(1月に)リリースするなど、ゆっくりながらも動きを見せている。一過性のブームでなく、長く愛されるパーティーゲームとしての地位を確立してほしいところだ。
【UPDATE 2021/01/21 13:38】
Xbox版対応予定に関する記載を変更。