『サイバーパンク2077』経営陣が、PS4/Xbox One版の品質について公に謝罪。今後のアップデート計画も改めて説明

『サイバーパンク2077』経営陣が、PS4/Xbox One版の品質について公に謝罪。今後のアップデート計画も改めて説明。PS5/Xbox Series X|S向けの無料アップデートは2021年下半期を予定。

CD PROJEKT REDは1月13日、『サイバーパンク2077』の今後の取り組みについて、最新の情報を発信した。無料DLCの配信やゲームの改善、次世代機向けのアップデートといった、2021年内に実施予定の取り組みに触れる内容となっている。あわせて、トラブルが続いているPS4/Xbox One版に関するスタジオおよび経営陣としての見解も示した。

今後の取り組みに関する言及はわずかであり、どちらかというと、ゲームの現状に関する説明と謝罪がメインとなっている。公式サイトの更新とあわせて、CD PROJEKTの共同創設者であるMarcin Iwiński氏の謝罪動画も公開。PS4/Xbox One版『サイバーパンク2077』について、同社が望んでいた品質水準を満たすものではなかったとコメント。最終決定権を持つIwiński氏ならびに取締役会の判断でゲームをリリースしたのであり、開発メンバーは責めないでほしいと伝えている。


公式サイトでの発表文では、「よくある質問」の項目にて、「PC版と家庭用ゲーム機・旧世代機版との間には、なぜこのような差があるのでしょうか?」という問いに答えている:

『サイバーパンク2077』は巨大なゲームで、多数のカスタムオブジェクト、相互に作用するシステムやメカニクスなど複雑な仕様を含んでいます。本作では、ハードウェア的に負担の少ない平坦な地形上ではなく、すべてのものが1つの大きな街に凝縮されており、さらに比較的ロードを挟まない環境が構築されています。それ自体が既に大きなチャレンジだったのですが、まずPC上で素晴らしいと思えるゲームを作り上げてから旧世代を含む家庭用ゲーム機に落とし込もうという方針が、それを更に厳しいものとしてしまいました。ハードウェア間の差は認識していましたが、この課題を過小評価していたことが、今となって証明された形となります。

同作の旧世代機版については、発売後、不具合の多さやパフォーマンスの低さが注目を集めてきた。今回の発表文によると、旧世代機におけるデータ読み込みの調整が特に課題であったとのこと。「ナイトシティの濃密さに反して、旧世代機のディスク帯域幅には限度があるため、この課題は常に我々を悩ませました」とIwiński氏は答えている。現在投資家から問題視されているのは、そうした旧世代機版についても問題なく動く状態であると、発売前に繰り返し発信されていたこと。旧世代機版におけるゲーム体験の実態について、誤った情報を伝えていたのではないかとの主張だ。

具体的には、投資家に対する誤認表示があったとして、米国の法律事務所が集団訴訟の訴状を提出(関連記事)。まだクラス・アクションとして成立するかは決まっていないものの、CD PROJEKT側も自社を守るべく、断固として争っていく意向であると伝えている。そのほか、CD PROJEKT REDが拠点を置くポーランドでは、消費者保護関連の行政機関による調査を受けているとも報じられている(GamesIndustry.biz)。同社の事前・事後対応の調査をもとに、不正な商慣習に当てはまるかどうかが判断されるという。


今回CD PROJEKT REDが、旧世代機版を巡るトラブルの事前・事後対応について消費者向けの説明を行なっている背景には、先述したような同社が置かれている状況も関係していることだろう。新情報はあまりなく、問題がなぜ起きたのか、どのような対応を予定しているのかの説明を主眼としている。なお旧世代機版が万全の状態でリリースされなかった点については、「ゲームの発売が近づくにつれ、毎日のように大幅な改善が見られていたため、発売日アップデートを以って完成品をお届けできると信じていましたが、それは誤りでした」とコメントしている。

またメディアやインフルエンサー向けのレビューキーの配布がPC版に限定されていた点にも言及。「旧世代機については、最後の最後まで品質を向上させるため奮闘しており、発売日アップデートに向けて取り組んだ日々によって目に見える改善がもたらされました。これが、当初の計画よりも遅い12月8日に家庭用ゲーム機版レビューキーを配布した理由です」と伝えた。結果としてPS4/Xbox One版の情報が掲載・公開され始めたのは、ゲームの発売から時間が経ってからとなった。


『サイバーパンク2077』は発売後、重大な不具合を優先的に修正するホットフィックスを3回にわたり配信。次のアップデート(パッチ1.1)は10日以内に配信され、その数週間後には、さらに大規模なアップデート(パッチ1.2)を配信する予定だという。そうした不具合の修正やゲームの改善に注力したのち、無料DLCを届けるとのこと。その後も継続的なアップデートと改善を重ね、2021年下半期に次世代機向けの無料アップデートを実施すると伝えている。

なおゲームのアップデートに関する「チームにクランチ(残業や休日出勤)を強いているのですか?」という設問では、「チームは、強制的な残業をすることなく、ゲーム修正に取り組んでいます」と答えている。一時的にPlayStation Storeから削除されているPS4ダウンロード版については、一日も早く復活させるべく尽力しているとのことだ。

2021年初頭予定の無料DLCに関しては、公式ページがオープン済み。詳細の発表が待たれる。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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