『天穂のサクナヒメ』RTAが3時間切り。自由な稲作と壁抜け探索で、爆速鬼退治完了
国内の同人ゲームサークルえーでるわいすが開発し、売上50万本を突破した稲作アクションRPG『天穂のサクナヒメ』。先日には、えーでるわいすとパブリッシャーのマーベラスが農林水産省から取材を受けるなど、本作では稲作要素が話題の中心となっているが、RTA走者たちも本作をプレイしており、複数のレギュレーションでスピードランが行われている。
そんな中、any%においては国内のRTA走者の一人ki-zu氏が2時間47分25秒を達成した。本稿では同氏による高速な稲作アクションをベースに、本作のRTAを紹介する。なお、同氏はPlayStation 4版の『天穂のサクナヒメ』を使用。難易度は戦闘/稲作共に易しいが選択されている。なおユーザーのクリア時間を集積するサイトHow Long To Beatによると、本作の平均クリア時間は31時間である。
RTAにおけるany%とは、平たく言って“とにかく速くクリアを目指す”なんでもありなレギュレーションである。まず探索パートについて見ていこう。本作においては、現在のところスピードクリアに繋がる派手なバグは見つかっていないものの、主に2点のバグがany%では使用されている。壁抜けと、一部強制戦闘のスキップだ。本作では、一部の壁などに対して羽衣/横弱攻撃/飛燕などを駆使すると、壁抜けができる。
ki-zu氏の場合、一例としては水惑いの谷で壁抜けを実施している(動画内1時間18分頃)。羽衣で位置を調整しつつ、壁に向かって飛燕を放ち中へ侵入。壁に入った後はさらに中を進んでいき、”水惑いの谷”の非常に長い最奥までの道のりを短縮している。また土竜の焔硝窟では、羽衣で壁に張り付いた状態で雀の攻撃を受けることで壁の中へ入っているほか(1時間50分50秒頃)、最終ステージの終盤でも羽衣と飛燕を使用して壁の中に入り最下層へ抜けるなど(2時間43分48秒頃)、多数の壁抜けの積み重ねによりタイムが短縮されている。
また一部のステージにおいては、ジャンプと複数回の飛燕を駆使して高く飛び上がることで、戦闘を回避。ダッシュと下攻撃を利用した高速移動と、飛燕複数セットによる空中での複数回発動が基本的な動きとなっており、通常プレイにおいても強力な武技”飛燕”が、八面六臂の活躍を見せている。
『天穂のサクナヒメ』のRTAの特徴としては、稲作パートの攻略も挙げられる。稲作はサクナヒメ自身の強さに直結することもあり、最初の1時間程度の間に集中して米作り実施。サクナヒメのファームを十分進めてから探索が行われる。現在のRTAチャートでは、稲作をしないサクナヒメと、稲作をするサクナヒメの両方が存在している。稲作をしないチャートの場合、ほとんどの作業を田右衛門に任せ、サクナヒメ自身はひたすら団子を食べて十数年間が経過。何年も成長を積み重ねることにより、必要なステータスを確保しているわけだ。一方の稲作をするサクナヒメも、田植えなどの作業は基本的に田右衛門に任せ、時間短縮を優先している。ただし、稲架掛けは自ら行い、まめに肥料を撒いて土壌の改良も図っており、何もしない場合と比べると通常プレイに近い攻略になっている。
ki-zu氏は、後者の「しっかり稲作するチャート」を採用。毎日肥料を与えるほか、なんと雑草も抜いて土壌の栄養を確保。水量も都度調整しており、当然雑草を抜いていない場合よりも米の格は高いようだ。同氏によると、2年目は力、3年目から5年目は運を伸ばすことを目標に稲作を進めており、ステージ攻略で役立つ力とクリティカル、技の習得に必要な神気を確保するチャートになっているという。
また同氏の場合は、5年間米をしっかり育てた後にアクションパートの攻略を開始しているが、米の育成方法やアクションパートを攻略するタイミングなどは走者ごとに違いがあり、サクナヒメが稲作をしないチャートでも3時間切りのタイムは達成されている。ki-zu氏が「このゲームは稲作で色々なチャート作れる楽しいゲームです」と語るように、RTAにおいても稲作パートの攻略が魅力の一つであり、速さの鍵にもなっていくのだろう。
『天穂のサクナヒメ』は、PlayStation 4/Nintendo Switch/PC(Steam)にて発売中だ。