『Fallout』コミュニティで大規模チャリティー配信を開催中、すでに600万円以上の寄付。終末世界を動かしたのは、5月に起きた“あの事件”
『Fallout』界隈にて大規模なチャリティーイベントが開催中だ。日本時間12月14日から21日にかけて、「Fallout For Hope」と銘打ったストリーミング企画が配信されている。ファンコミュニティにより主宰されている催しであり、配信者やコンテンツクリエイターなど、300人以上が参加するビッグなイベント。Bethesda Softworksのスタッフも登壇し、まさしく『Fallout』全体を巻き込んだセンセーションとなっている。開催のきっかけとなったのは、今年5月に『Fallout 76』を震撼させた“あの事件”だったようだ。
イベントを主宰しているのはPodcastにおける番組、「Chad: A Fallout 76 Story Podcast」(以下、Chad)。『Fallout 76』を題材としたファンクリエイトのラジオドラマで、Vault 76から脱出したふたりの放浪者の旅を描いている。二次創作コンテンツながら、今年の3月にはBethesda Softworksの公式イベント「Bethesda Game Days 2020」に招待されるなど、人気と知名度は折り紙付きだ。そんなChadがホリデーシーズンに用意したのは、創作活動にとどまらないプレゼント。『Fallout』ファン全体を巻き込み、現実世界にまで届けられる壮大な贈り物だ。
Chadは12月14日から20日にかけて、「Fallout For Hope」と銘打った大規模な配信企画を開始。300人以上もの『Fallout』系ストリーマーを集め、チャリティーイベントを開催している。集まった支援は、小児がんや命に関わる子どもの病気を研究している米国の医療機関Saint Jude Children’s Research Hospitalに寄付されるとのこと。タイムテーブルを彩るイベントは多種多様だ。『Fallout 4』の実況プレイ、『Fallout 76』PvPの生中継、さらにはファッションショーに至るまで、よりどりみどり。さらにはBethesda Softworksのスタッフも登壇し、15日の番組にはすでに同社副社長のPete Hines氏が出演。16日には「Wastelanders」アップデートのリードデザイナーFerret Baudoin氏が登場し、アパラチアのストーリーにまつわるトークを披露した。
本イベント運営チームのひとりが、海外メディアPCGamesNの取材に答えている。実は今回の企画は、2020年に『Fallout』コミュニティを巻き込んだある出来事にインスパイアされて始まったという。今年5月、『Fallout 76』にてひとりの医師が倒れた(関連記事)。彼の名前はドクター・CJ Martin。アパラチアではよく知られた有名プレイヤーのひとりだ。その理由は、彼の徹底的な「親切プレイ」にある。CJ Martin氏はゲーム内でヘルスクリニック&ファーマシーを設立し、初心者プレイヤーに向けて大量のスティムパックを供給。高難度コンテンツに挑むプレイヤーには回復を施し、さらに診療所で働くスタッフや用心棒も雇用するなど、大規模な“人助け”を続けてきた。まさしく、多くのウェイストランダーにとっては育ての親のような存在だったのだ。
ところがドクターを思わぬ悲劇が襲った。CJ Martin氏、正確にはそのプレイヤーであるBrent Fairchild氏が、現実世界にて火災に遭ってしまったのだ。本人やその家族は一命をとりとめたものの、一家が暮らしていた家は深刻な被害を受けることに。損害を補償するには莫大な費用が必要となった。そこで立ち上がったのが、これまでドクターに助けられてきた『Fallout 76』の住民たちだ。コミュニティはFairchild/CJ Martin氏を支援するための基金を設立。全世界に向けて義援金の寄付を募った。運動は瞬く間に広まり、遠く日本からも支援が届いたとのこと。最終的には1万2000ドル(約124万円)もの寄付が、わずか1週間半で集められたという。その後クリニックの公式Facebookページにて近況が伝えられ続け、めでたく先週12月10日、CJ Martin氏はアパラチアに戻ってきた。さらに「ドクター・CJ Martinのヘルスクリニック&ファーマシー」として診療所スタッフ一同、今回のFallout For Hope配信にも参加している。
一連の出来事によりコミュニティの力を再確認したことが、Fallout For Hope開催のきっかけとなったようだ。新型コロナウイルスをはじめ、多くの困難に見舞われた2020年。ストリーマーやコンテンツクリエイター、プレイヤーといった『Fallout』ファン全体の力を合わせることで、大きな物事を動かせるのではないかと主催者は考えたそうだ。はじめは20〜30人程度の参加者を見込んでいたが、結果的には300人を超える規模に。改めて界隈の連帯感の強さを感じたとして語られた。
Fallout For Hopeは日本時間12月21日まで開催中。目標支援額は10万ドルとされており、本稿執筆時点では約66000ドル(約682万円)が集まっている。寄付を送るにはこちらの配信ページから、タイムテーブルは公式サイトからチェックしよう。