稲作アクションRPG『天穂のサクナヒメ』昼の時間の長さは、季節によって変化する。検証した上でもわかった、稲作だけにとどまらない細かな作り込み

『天穂のサクナヒメ』では、太陽の傾きを元に昼の時間を計算しているため、冬場の昼の時間は短くなっているという。実際に検証してみた。

同人ゲームサークルえーでるわいすが開発し、累計出荷本数50万本を突破した稲作アクションRPG『天穂のサクナヒメ』。同作では、主に多数の要素を盛り込んだ本格的な稲作が話題となっているが、その細かな作り込みは、季節の変化による日照時間にも及んでいたようだ。えーでるわいすのなる氏のツイートによると、太陽の傾きを元に昼の時間を計算しているため、冬場の昼の時間は短くなっているという。


『天穂のサクナヒメ』は、国内の同人ゲームサークルえーでるわいすが開発し、PlayStation 4/Nintendo Switch/Steam向けに販売中の稲作アクションRPGである。主人公のサクナヒメは、豊穣神と武神を両親に持つ神の一柱。彼女は、神の都で親の財産を食いつぶしていたのだが、あるきっかけから主神の勅を受け、ヒノエ島へ渡ることに。飢えをしのぐため稲作を行いつつ、鬼退治と島の探索に明け暮れる。

本作の稲作では、冬の終わりから春にかけて種籾選別や田起こし、田植えを行う。田植え後は、水量の調整や雑草の管理。そのほか追加の肥料などを与えつつ生育を見守り、秋の収穫を迎えるとその年の稲作は終わりとなる。また稲作と探索を同時に進めたい場合、稲を育てていない冬の時期や、大きな作業の発生しない日など、稲作の合間に探索を進めていく。本作では、メニュー画面をひらいている時など一部を除いて常に時間が経過しており、時間経過と共に田んぼの状況が変化するほか、夜になると周囲の見通しが悪くなり、敵が強くなってしまうためだ。


しかし、稲を育てている期間は何かと忙しい。朝に雑草や水量を調整してから探索に出かけても、水が減ってしまっていないか、中干しの状態は大丈夫なのか、田んぼの状況が気になってしまうこともある。本作に対して「兵農分離の大事さを知った」「農家だったら台風の日に田んぼを見に行って死んでた」などという声が上がっているほど。つまり、探索に集中できるのは稲を育てていない冬の間になるわけだが、冬は昼の時間が短くなっていたようだ。

えーでるわいすのなる氏のツイートによると、本作の昼の時間は、太陽の傾きを元に計算。季節によって太陽の傾きが異なり、それをまともに計算した値が昼の時間になっているため、冬場は昼の時間が短くなっているのだという。ツイートには、季節や時間に関連する数値と共に、1年間の様子を早回しに映した動画も添付されているが、実際に探索に使える昼の時間はどのように変化するのだろうか。簡単に調査した結果が、以下の表となる。


調査では、各季節1の朝に万牙洞へ入り、そのままサクナヒメを入り口に立たせた状態で「夜は暗いため見通しが悪くなり、敵も強力になります」というテロップが表示されるまでの時間を計測した。テストまでの流れとしては、前日の夕餉をとって就寝し、朝まで時間をスキップ。朝になった後は即メニューへアクセスし、探索マップでの朝から夜までの時間を調べている。計測方法の問題で、数秒程度の誤差があるかもしれない点には注意してほしい。

結果を見てみると、夏1が昼の時間がもっとも長く、春1、秋1、冬1と続いた。最長となる夏1は約11分3秒。春1は約9分33秒、秋1は約8分38秒と2番目に短く、最短が冬1の約7分20秒だった。実際に時間で比べてみると、確かに冬の時間は短い。秋の収穫が終わったと思ったら、気づけば次の稲作が始まっている忙しさは、昼の時間の変化の影響もあったわけだ。なる氏が「稲作から解放される冬場に探索しがちなので、若干制限時間キツめな感じになってるのかもしれない」と考えるのも頷ける。稲に関連する作業がなくなるため、冬を探索の本番と捉えがちだが、田んぼの管理を含めても、意外にも夏は昼の探索に向いているかもしれない。

なお、本調査はSteam版を使用して行っているが、Nintendo Switch版を使用して冬1の昼の時間を計測したところ、同じ7分20秒という結果が得られたため、プラットフォームによる違いはないと思われる。また、今回の調査では対象にはしていないものの、冬1の昼時間が7分20秒であるのに対して、冬2の時間は7分50秒。冬3の時間は8分30秒ほどであった。季節だけでなく日によっても変化しているようだ。


『天穂のサクナヒメ』では、PlayStation 4/PC(Steam)向けに新たなアップデートが本日配信されている。同アップデートでは、空中で羽衣を空振りした際にもう一度伸ばせるように調整されたほか、真価解放時の不具合や、敵がアイテムを落としたときにロードするとロード後にアイテムが取得できる不具合などが修正された。また、なる氏の最近のツイートでは、サクナヒメのスキル重複に関する仕様や、羽衣の入力に関する経緯などが明らかになっている。気温は長野県をモデルにしており、攻略に役立ててくださいという本作らしいツイートも行われている。

天穂のサクナヒメ』は、PlayStation 4/Nintendo Switch/Steam向けに販売中だ。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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