MOBAベースのバトロワ『ブラックサバイバル: 永遠回帰』Steamで急成長中。ルミア島を舞台に繰り広げられる人体実験サバイバル

Nimble Neuronが配信している『ブラックサバイバル: 永遠回帰』が破竹の勢いで成長中だ。バトロワ+MOBAという新しいゲームジャンルの開拓に挑戦している作品だ。

インディースタジオNimble Neuronが配信している『ブラックサバイバル: 永遠回帰』が破竹の勢いで成長中だ。同作は10月14日に早期アクセス配信されたMOBAをベースにしたバトルロイヤルゲーム。基本プレイは無料となっており、ソロプレイ・デュオ・最大3人のスクアッドモードに対応している。現在対応しているプラットフォームはSteam。日本語字幕とUIに対応しているが、音声対応は英語と韓国語のみとなっている。配信開始から約2か月ほどたつ本作だが、過去30日の平均プレイヤー数は1万1000人超え(SteamCharts)。その成長は留まることなく、本稿執筆時(12月4日)の同時接続プレイヤー数はSteam全体ランキングでトップ20入りしている。

本作は、2015年にスマホ向けアプリとして配信された『ブラックサバイバル』の派生作品。『ブラックサバイバル』は、ストラテジー要素の強いコマンド式の対人戦が特徴のバトロワゲーム。本作は前作からラフト要素や世界観を継承してしており、バトロワ+MOBAというゲームジャンルの開拓に挑戦している作品だ。


本作の土台となるのは、最大18人からなる生き残りをかけたバトルロイヤル。プレイヤーは個性豊かなキャラクターの中から1人を選び、見下ろし視点で操作することとなる。12月4日時点で18体のキャラクターが存在し、今後も随時追加が予定されているようだ。操作するキャラクターと初期武器を選んだ後、プレイヤーはパンと水を2つずつ渡され、戦いの舞台となる”ルミア島”のどこに降りるかを選択するのだ。


『ブラックサバイバル: 永遠回帰』は、通常MOBAと呼ばれるゲームジャンルに多く見られるシステムを採用。、敵キャラクターやモンスターを倒してお金を稼ぎ、そのお金を使ってショップで装備やアイテムを購入。そしてキャラクターを成長させていくサイクルが導入されている。しかし本作では、ルミア島に散らばっている素材を集めてクラフトし、装備やアイテム、そして食べ物や罠などを自分で用意していくのだ。タイトルにあるとおり、生き残りを目指すゲームプレイはまさにサバイバルである。そのため操作するキャラクターに適した装備を効率よく持たせるために、最初に降下する地域は非常に重要と言えるだろう。

一方で、遊びやすさについての配慮もなされている。というのも、どこに降りるべきか、どんな装備を持たせたほうがいいかについて、迷うこともないすべてのキャラクターには最初から”おすすめルート”というものが設定されている。始めたばかりのプレイヤーであればおすすめルートを巡りつつ、まずはキャラクターを動かすことに専念してみると良いだろう。ある程度慣れた時点で、オリジナルのルートを作成してみるもよし、他のプレイヤーが作成し共有しているルートを借りることもできる。


プレイヤーはキャラクターを成長させるために、上記の装備にくわえレベルと装備熟練度に気を配らなければならない。レベルを上げるための経験値はプレイヤーのさまざまな行動から得ることが可能だ。もっとも分かりやすいものとして敵やモンスターを倒すこと。そのほかマップに点在する素材が入った箱の調査、装備やアイテムなどのクラフト、石や枝の採集。ただ移動し続けることでも、経験値を得られる仕組みとなっている。それぞれ獲得できる量は異なるが、敵との遭遇以外にもプレイヤーに多くの選択肢を与えていることが見て取れるだろう。積極的に他のプレイヤーと交戦してもよし、最後の2人になるまでひたすらレベルを上げ、いい装備品やアイテムを準備することも1つの戦法となる。

装備熟練度は、キャラクターが手にしている武器にどれだけ熟練したかを表す数値だ。熟練度が上昇すると、キャラクターのステータスが上昇することにくわえ、武器専用のスキルが解放される。この熟練度を上げるための方法は、武器を使って敵やモンスターを攻撃するほかない。他のプレイヤーとの交戦を避けることも戦法の1つだが、積極的に交戦することにもメリットが用意されているというわけだ。レベルと熟練度の最大値は20。それぞれ1プラスされるごとに変化するステータスは決して無視できるものではない。戦いに身を投じるか装備の完成を急ぐか、さまざまな場面で判断を下す必要があるだろう。なお、ルミア島では時間が経過していくごとに、地域単位で封鎖が始まっていく。バトロワではお馴染みの光景だろう。


封鎖済みのエリアに侵入するとキャラクターの頭上のタイマーが動き出す。30からカウントダウンが始まり、0になった瞬間キャラクターは無残にも爆発して死ぬのだ。あくまでも、生き残りをかけたサバイバルゲームだということを改めて認識させられる。そうならないようプレイヤーは適度にマップを開き、どこのエリアが封鎖されるか確認しなければならない。プレイヤーには徒歩以外の移動手段として”ハイパーループ”が与えられている。いくつかのエリアにのみ設置されたオブジェクトで、アクセスすることで他の地域に瞬時に移動することができる優れものだ。広いルミア島内を行き来するのに非常に役に立つだろう。

エリアが狭まるにつれ、他のプレイヤーたちとの遭遇率が増す緊張感はバトロワならでは。そこにMOBAの戦闘システムとサバイバル要素をうまく掛け合わせたのが本作だ。熾烈なゲームジャンル同士を融合させ、新たな形として生み出すには多くの苦難があったことだろう。本作の開発陣はこういった悩みをコミュニティに対して非常にオープンにしているのが特徴的だ。11月30日に投稿された記事では、開発陣が公開しているロードマップに掲載していた追加予定の機能実装キャンセルを発表。その理由や背景、そして今後開発陣が目指していきたい形について真摯に語っている。このような積み重ねが、しっかりと実を結び、うまくコミュニティに受け入れられているのだろう。

また筆者が思う本作のもう1つの魅力はその手軽さだ。MOBAというゲームジャンルは、どうしてもチームプレイの傾向が強くなる。固定のメンバーを集め、練習していく過程も面白さの1つと言えるのだが、メンバーを集める時点で荷が重いと感じるプレイヤーも一定層いることだろう。しかしバトロワもベースの1つとしている本作は、ソロ・デュオ・スクアッドそれぞれに焦点が当てられバランス調整が行われている。1人でも複数人でも楽しめる仕様というわけだ。試合全体のテンポ感もよく必要以上に長くない。やられてしまっても、すぐ次の試合が始められるリプレイ性の高さも、バトロワのよい部分を継承できているように感じる。

今後は競技性の高いゲームの1つとしても『ブラックサバイバル: 永遠回帰』は注目されていく作品になりそうだ。すでに韓国内ではプロプレイヤーを誘致しての賞金制の大会も開かれているようだ。冒頭でも述べたように、本作は日本語にも対応しており、全体的に遊びやすい作りとなっている。ロードマップによると日本語ボイスの収録も予定しているそうだ。日に日に成長していく基本プレイ無料のMOBA×バトロワゲームを、ぜひ手にとってみてはいかがだろうか。

Tadashi Harao
Tadashi Harao

対人ゲームが好きです。初めて遊んだ対人ゲームはMGO、熱中のあまり息切れ起こしながら遊んでました。

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