『フォートナイト』“侮辱的”との指摘があったNFLとのコラボスキンを差し替え、返金も対応。人種差別的とされた「レッドスキンズ」の改名を受けて
Epic Gamesは『フォートナイト』において、“侮辱的”であると指摘を受けていたNFLとのコラボスキンの一部スタイルのデザインの差し替えをおこなった。対象スキンは「ストロングガード・エンドゾーン・グリッドアイアン・スパイク・ブリッツ・ラッシュ・インターセプター・ジューク」の8種類。すでにスキンを購入済みのユーザーに対しては、変更にともなって希望者に返金手続きを受け付けている。申請受付は現地時間で11月12日までだ。
同作は今年1月より米国プロアメリカンフットボールリーグとコラボレーションを実施しており、全32チームのユニフォームを模したスキンをゲーム内ストアで販売。スタイルを変更することで各チームカラーとロゴを身につけることができ、自分が応援するチームの衣装でマッチに臨めるようになっていた。
ところがこのうちの1チームのスキンが火種となったようだ。問題とされているのがワシントンのチーム「ワシントン・フットボールチーム」のスキン。とはいえアメフトに詳しい諸氏でも、この名前にはピンとこないかもしれない。同チームはつい最近まで「レッドスキンズ」とのチーム名で活動しており、そのロゴマークにはアメリカン・インディアンのモチーフが使用されていた。1933年より使用されていた伝統ある名称である。
しかし「レッドスキンズ」はもともと1860年代(南北戦争ごろ)、ネイティブアメリカンに対する蔑称として使用されていた単語だった。現代における差別意識の有無にかかわらず、その由来についてはセンシティブにならざるを得ないネーミングではある。以前から不適切なチーム名ではないかとの指摘はあったが、オーナーのDaniel Snyder氏はあくまで従来どおり名前を死守する姿勢を見せていた。
ところが今年7月に入り状況が激化。Black Lives Matter運動の高まりにともなって世論の批判が高まった。さらにチームの有力スポンサーである大手物流企業FedExなどからプレッシャーを受け、同月中旬にはとうとう「レッドスキンズ」の名称撤廃を決定。次なる正式名称は決まっていないものの、2020年シーズンは仮名称のワシントン・フットボールチームとして活動することが決定した。あわせて、ネイティブアメリカンをモチーフとしたロゴマークも撤廃することが決まっている。
ただし『フォートナイト』のスキンにおいては、すでに廃止されたレッドスキンズ仕様のロゴが使用され続けていた。スタイル選択画面では各チームのロゴマークのアイコンを選択するUIとなっていたが、現在「ワシントン・フットボールチーム」のみ、えんじ色で塗り潰したアイコンとなっている。公式チームの決定が7月だったことを踏まえると、今回の対応はやや後手に回ったかたちといえるだろう。
レッドスキンズの改名騒ぎについては他のゲームも影響を受けており、エレクトロニック・アーツ『Madden NFL 21』でもアップデートによりチーム名が差し替えられた。その際、オーディオ・スタジアムアート・モーショングラフィックス・ユニフォームなどをすべて作り直す大工事となっている。実在の団体とのコラボレーションに積極的な『フォートナイト』や現実のリーグをモデルにした『Madden NFL 21』など、ゲームと現実世界の接近はとみに著しい。社会と交差する場面が増えるほどこうした不都合が生じるのは避けがたい事態といえるだろう。