アナログスティックの「ドリフト」問題、Xboxコントローラーについても米国にて集団訴訟が提起。機種問わずゲーマーを悩ませる【UPDATE】

アナログスティックに触っていないにもかかわらず、入力操作がおこなわれてしまうドリフト問題。Xboxにおいても、この問題が集団訴訟に至っているようだ。

ゲームコントローラーのアナログスティックに触っていないのに、入力操作がおこなわれてしまう現象について、海外では漂流を意味する“ドリフト”と呼ばれている。最近では、Nintendo SwitchのJoy-Conにおけるドリフト現象が特に注目を集めており、海外では集団訴訟にまで発展していることを弊誌でも何度か取り上げてきた。ただ、ドリフトに悩まされているのは他機種ユーザーも同じのようだ。米国では、マイクロソフトに対して集団訴訟が提起されている。


2020年4月、ニューヨーク在住のDonald McFadden氏を代表とする集団訴訟が、ワシントン州西地区連邦地方裁判所にて提起された。被告はマイクロソフト。McFadden氏は、Xbox Eliteワイヤレスコントローラーを購入し使用していたがドリフトが発生し、新たに買い直すも3〜4か月でまたドリフトしてしまったという。コントローラーの保証期間は、Xbox One本体と比べると“アンフェア”に短い90日に設定されていたため、無料修理は受けられなかったそうだ。

同氏は訴状にて、同様のトラブルについてはXbox公式フォーラムを含むネット上に数多く投稿されていることから、マイクロソフトはそうした“欠陥”を認識していたはずだと主張。しかし、同社は欠陥について公表することなく、また無償修理にも応じなかったと指摘している。McFadden氏は、欠陥によりドリフトする可能性があることを事前に知っていれば、高価なEliteコントローラーを購入することはなかったとしている。ちなみに、同コントローラーは約1万6000円である。また、ネット上の不具合報告はEliteコントローラーに限らない。


同訴訟については、原告に新たに7名を追加し、また陪審員裁判とすることを求める修正訴状が10月2日に裁判所に提出された。その中では、昨年11月に発売された後継モデルXbox Eliteワイヤレスコントローラー シリーズ2も、欠陥のある製品だとして追加。アナログスティックの内部パーツの写真も添付して、問題点を指摘しているという(VGC)。現時点では、原告は裁判所にトライアル(対審)の実施を求めている段階であり、裁判所はその判断を下すか、和解勧告などをすることになりそうだ。

余談であるが、今回の集団訴訟の原告側には、冒頭で触れた任天堂に対する集団訴訟のひとつを担当する弁護士事務所CSK&Dが同じく関わっている。Joy-Conドリフトにおける集団訴訟に関連しては、任天堂代表取締役社⻑の古川俊太郎氏が株主総会の場にて謝罪。しかし訴訟においては、実際には不都合をもたらしていないと主張したと伝えられ話題となった(関連記事)。一方、マイクロソフトは訴訟については公にはコメントしていない。

https://twitter.com/PushDustIn/status/1312063424118042624

アナログスティックのドリフト問題については、ネット上ではPlayStation用のDUALSHOCKシリーズにおいても報告されており、YouTubeでは各コントローラーのDIYでの修理方法が多数投稿されている状況だ。ただ、多くの不具合報告が上がっている一方で、SNSやフォーラムなどではまったく問題がないという人も見られ、一概に製品としての欠陥であると断定できる状況でもなさそうである。

今年11月にはPS5やXbox Series X|Sのローンチが迫っており、共に新型コントローラーが用意される。その使い心地はもとより、アナログスティックの設計に何らかの変更が施されているのかどうかも注目を集めることとなりそうだ。

【UPDATE 2020/10/15 20:40】


マイクロソフトがXbox向けサポートページを更新し、「Xbox Wireless Elite シリーズ 2 コントローラーの保証更新プログラム」を案内している。これは同コントローラーの保証期間を、従来の90日から1年に延長するというもの。同社は、「使用しているときに、ごく一部のお客様が機械的な問題を経験しているという申し立てを受けました」とし、“ご満足いただけるよう”保証期間の延長をおこなったと理由を説明している。

時期的には、欠陥のある製品として同コントローラーが追加された、今回の集団訴訟の修正訴状が裁判所に提出された直後のタイミングとなる。これを受けてマイクロソフトが保証期間の延長を決めたのかどうかは不明だが、過去にはJoy-Conドリフトに関する集団訴訟が提起された後に、任天堂が米国にて修理費用を無償化した例がある(関連記事)。

なお、この保証更新プログラムは日本向けにも案内されている。さらに、保証延長は過去にも遡って適用され、これまでにElite シリーズ 2 コントローラーを修理し費用が発生していた場合には、10月31日までにマイクロソフトから払い戻しがおこなわれるそうだ。詳しくはサポートページを確認してほしい。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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