海外メディアIGN記者、Nintendo Switch向け『FIFA 21 Legacy Edition』のレビューにて『FIFA 20』の記事を「丸ごとコピー&ペースト」する

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海外大手ゲームメディアIGNに、奇妙な記事が掲載されている。同メディアは米国IGN Entertainment社が運営する、ビデオゲームを中心としたエンターテインメント情報サイト。月間2億3800万ユーザーが利用し、ゲーム・映画や・コミックなどのニュースのほかレビュー記事も数多く掲載している。

批評メディアである以上、ときにその筆は厳しいものになることもしばしば。しかしこのたび掲載されたNintendo Switch向けソフト『FIFA 21 Legacy Edition』に対するレビューはとりわけ毒気が効いているようだ。というのもその内容は、昨年発売された前作『FIFA 20 Legacy Edition』のレビューを「丸ごとコピー&ペースト」したものだからである。なぜそのような記事が掲載されているのだろうか。
 

 
『FIFA 21』はエレクトロニック・アーツ株式会社が10月9日に発売した人気サッカーゲームシリーズの最新作だ(関連記事)。対応プラットフォームはPlayStation 4/Xbox One/PCで、PlayStation 5/Xbox Seriesへの対応もアナウンスされている。1万7000人以上の選手と700以上のチーム、90を超えるスタジアムと30以上のリーグを収録し、ゲームシステムも大幅に進化した。

現実の選手の巧みなドリブルにインスパイアされたという「アジャイルドリブル」システムでは、キーを押しながらトリガーを操作することでディフェンダーを華麗にかわしながらドリブルができるように。またAIの空間認識を向上させることで、より高度なポジショニングを戦略的に構築できるようになった。このほかにも多数の新機能が実装されており、さらに臨場感ある試合を楽しむことができるようになっている。

主要なコンソールで『FIFA 21』がリリースされている一方、Nintendo Switch版がラインナップされていないのは気になるところだろう。実はNintendo Switch向けには『FIFA 21 Nintendo Switch Legacy Edition』との看板で別途ソフトウェアが発売されている。こちらも世界中のトップリーグから新たなユニフォーム・クラブ・選手を多数収録し、本作から新登場する要素も少なくない。しかし注意しておきたいのは、販売ページに明記されている一文である。「ゲームプレイ機能とモードは、Nintendo Switch版「FIFA 20」から変更がありません」。つまりNintendo Switch版は、フルプライスにもかかわらず前作を丸ごとコピーしたバージョンになっているのである。
 

 
IGN UKの記者であるSimon Cardy氏は、『FIFA』シリーズを通して記事を担当してきたレビュアーだ。同氏はかねてよりマンネリ化するゲーム内容に疑問を投げかけてきた。2018年に投稿された『FIFA 19』レビューの時点で、Nintendo Switch版が他コンソール/PCバージョンより遅れをとっていることを指摘。PS4/Xbox/PC版では『FIFA 16』で使われたのが最後となるIgniteエンジンを未だに採用しており、ゲームプレイのテンポはすでに悪評を受けていた『FIFA 18』のクオリティから進歩していないとの批判を寄せていた。

この時点ですでに古いシステムから改善しないシリーズへの失望が表れていたが、残念なことに同氏の落胆は翌年にも持ち越されている。2019年の『FIFA 20 Legacy Edition』でもピッチにおける操作性の悪さにほとんど改善が見られなかったうえ、はじめて『Legacy Edition』との題目を冠した同作は「ゲームプレイを含めまったく新要素がない」と明言された代物だった。もはや『FIFA 19』の無料アップデートとして出しても差し支えない無変化ぶりに、Cardy氏の怒りは筆先へ向かう。同氏はその年のレビューで、「前年の記事のひと段落をほぼ丸ごと引用する」という荒技に出たのだ。同氏のコピー&ペースト芸は、そっくりそのまま進歩の見られないシリーズに対する痛烈な皮肉だったのである。
 

 
かような奇策でシリーズへの憤りをあらわにしてきたCardy氏だが、同氏の批判も虚しく『FIFA 21 Nintendo Switch Legacy Edition』にてまったく同じことが起きてしまう。同じゲームプレイ、同じモード、フルプライスで発売される旧作のコピー版。ここでCardy氏の不満はピークを迎え、先述した衝撃の記事掲載に至った。段落どころか記事そのものを、昨年と寸分違わぬコピー&ペーストにしてしまったのだ。たとえ前作のレビューを使い回しても、ゲーム内容も前作と変わっていないのだから問題ないというわけである。一見手抜きのようなコピペ記事は、Cardy氏の深い怒りと悲しみから生み出されていたのだ。
 

*さすがに動画版レビューはそのままではなかったものの、「Legacy Edition」の題目のもと実質2年間同じゲームをリリースし続けるEAに対し痛烈な批判を述べている。

 
Cardy氏が『FIFA 21 Nintendo Switch Legacy Edition』に対して下したスコアは10点満点中わずか2点。PS4/Xbox One/PC版の『FIFA 21』に対するスコアが7点であったことから、Nintendo Switch版に対する同氏の憤りがいかに大きいかが計り知れるだろう。ちなみにほぼ同じ内容とされる『FIFA 20 Legacy Edition』の得点は4点であった。もし物事が等速で進行するのであれば、『FIFA22』『FIFA23』『FIFA 24』のスコアがいったいどうなってしまうのか、誰にも予想がつかない。
 

 
海外ユーザーからも、EAはNintendo Switchで『FIFA 21』を売るのにいったいどんな気持ちで「『FIFA 20』から変更がありません」などと書いたのか、とのツッコミが入っている。使い回しを続けるシリーズには多方面から疑問が寄せられているようだ。はたしてNintendo Switch版『FIFA』シリーズが「レガシー」という呪縛から解き放たれる日はくるのだろうか。

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