Amazonのチーム対戦シューター『Crucible』開発中止へ。正式リリースからCBTへ仕切り直し図るも、人口激減に歯止めかからず臨界点に


ゲームスタジオRelentless Studiosは10月9日、現在クローズドベータ中のチーム対戦アクションシューター『Crucible』の開発を中止すると発表した。運営は課金要素に対する返金対応をアナウンスしており、ゲーム内でのクレジット購入も停止される。向こう数週間で最後のイベントを開催したのち、まずマッチメイキングを停止。

『Crucible』はAmazon Gamesが販売を担当する基本プレイ無料タイトルだ。さまざまなアビリティをもつ10名のハンターからひとり選び、仲間とチームを組んで対戦する。試合中はモブ敵を倒すことで経験値を獲得しつつ、フィールド上のオブジェクトを制圧していく。チーム戦による陣取りというMOBA要素や異なる性能のキャラクターを扱うヒーローシューター、さらにPvPvEなど複数ジャンルを横断するルールを取り込んだ意欲作で、ピーク時には1万人以上のプレイヤーが参入していた。

しかし5月の正式リリース後、さまざまな問題点が浮上する。スケールやメカニズムの異なる複数モードとキャラクター・マップのバランス調整に粗が目立ったほか、エフェクトによるフィードバック不足・ボイスチャット実装の遅れなど、未完成の印象が強い出来栄えであった。早期アクセス配信ならいざ知らず、正式リリースのクオリティには至らない完成度に不満が募った。プレイヤー数はたちまち激減し、同時接続人数は3桁台まで落ち込む事態になっていた。


こうした事態を受け、Relentless Studiosは異例の対応を余儀なくされる。6月には、もともと3つ実装されていたゲームモードのうちふたつを削除(関連記事)。比較的ユーザー人口の多いモードに集約することで過疎化を防ぐとともに、バランス調整の軸を絞ることを目指した。それでも人口激減には歯止めがかからず、7月には正式リリースしていた本作をクローズドベータに戻す事態となる(関連記事)。

今回のRelentless Studiosによる報告では、クローズドベータ逆行後の顛末が語られている。開発陣はユーザーエクスペリエンスを拡張する機能のリストを作成し、ロードマップとして公開。将来的に実現予定だったカスタムゲームを除き、リストアップした機能はすべて実装するに至った。そこで開発チームの次のステップとしては、ユーザーからのレスポンスを検討することで次の方針を決める段階に入ったという。


しかし利用者の評価は、致命的な影響を運営に与えたようだ。フィードバックを吟味した結果、もはや『Crucible』の開発は中止せざるを得ないという判断に至ったという。チームは反応を寄せたプレイヤーに謝辞を述べつつも、健全で持続可能な将来を描けないとして本作の運営終了を結論づけている。今後スタッフは、Amazonが手がけるPC向けMMO『New Worlds』(関連記事)をはじめとした別のプロジェクトに注力していくという。

『Crucible』のさまざまな苦闘はまったく成果を上げていなかったわけではない。Steamでは依然として賛否両論のレビューが覆らないものの、漸次ステップアップしていく過程には一定の評価が認められているようだ。ただし、やはりゲーム全体のバランスには難が見られ、チームの小ささに対するマップの大きさなどが批判の対象に。さらに、いちど離れてしまったユーザーを取り戻すのはやはり難しく、人口減少によるマッチメイクの長期化も大きな痛手となっていたようだ。数々の施策により仕切り直しを図った本作だったが、とうとう限界を迎えてしまったかたちとなる。


『Crucible』は今後の数週間で、ゲーム内およびDiscordにおいて最後のコミュニティセレブレーションイベントを開催するという。『Crucible』は日本時間で11月10日午前5時までサーバーを運営予定だ。