『スマブラSP』系人気メディア「Smashlog」が事実上の終了。任天堂からの許諾得られず断念

株式会社808は10月9日、同社の運営するWebメディア/YouTubeチャンネルSmashlogスマブラSP部門の更新を今後も停止すると発表した。事実上のメディアとしての終了宣言となる。

株式会社808は10月9日、同社の運営するWebメディア/YouTubeチャンネルSmashlogスマブラSP部門の更新を今後も停止すると発表した。Smashlogは、今年8月に更新停止状態であることが明かされていた。同メディアは『スマブラSP』専門メディアであり、今回の発表は事実上のメディアとしての終了宣言となる。

Smashlogは、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラSP)を主に扱うWebメディア/YouTubeチャンネルだ。同メディアは『スマブラSP』を専門としているというだけでも珍しいが、特筆すべきはやりこみプレイヤーが主体となってコンテンツが作成されていたこと。あばだんご氏やShogun氏など、確かな知識と腕をもったプレイヤーが、直々に記事や動画を作成する、コミュニティ主導のメディアとして脚光を浴びていた。Webメディアとしての人気は根強く、YouTubeチャンネルも登録者数10万人超え。『スマブラSP』の情報を扱う媒体としては、厚い信頼を得ていた。『スマブラ』のコンテンツやコミュニティの厚みが、如実に反映されたメディアであった。

しかし今年の7月6日に記事および動画の投稿が停止。公式Twitterで発信されるのは、Mildom(ミルダム)で配信される『スマブラSP』以外のゲーム配信の告知のみだった。8月7日同公式Twitterアカウントにて、更新が止まっていることを認め「任天堂からの指摘があり、再開するために協議する」とコメントしていた。しかしその協議が実らなかったようで、終了宣言に至ることとなった。

任天堂の指摘については、「法人であるSmashlogにおける任天堂が著作権を有するゲームソフトの動画や静止画の投稿が、事前に任天堂の了承を得たものではなく、同社が公開している著作物利用ガイドラインの対象外であり、著作権を侵害する行為に当たる」という内容のものだったという。その後協議を続けていたが、許諾には至らなかったようだ。

WebメディアSmashlogにおいては、10月23日までに任天堂が著作権を有する映像、スクリーンショット、キャラクター画像等の著作物をすべて削除するという。その後はテキストのみであるが、記事を閲覧することは可能なようだ。YouTubeチャンネルにおいては、過去に投稿した動画は収益化を停止し、かつ今後の投稿を行わないことを条件に、削除はしないという措置がとられるという。Smashlogの魅力といえば、やはり動画。テクニックを学べるだけでなく、やりこみプレイヤーたちのかけあいも魅力であった。それらのコンテンツは、今後も視聴できるようだ。

任天堂が、著作物関連で許諾を出さなかった似た例としては、配信プラットフォームミルダムでの配信禁止があげられる。ミルダムを運営する株式会社DouYu Japanもまた、同プラットフォームにおける配信許諾について任天堂とかけあってきたが、今年8月に断念する結果となった(関連記事)。一説としては、任天堂から出禁を受けた理由として、ミルダム内に賭博コンテンツが存在する点が指摘されていたが、事実は不明。そしてSmashlogもまた、2019年12月よりミルダムを熱心に利用していた。

近年ではゲーム実況が、ビジネスとして人気コンテンツ化しており、ゲーム実況を介して巨額の収益を得るケースも多くなりつつある。それにともない、任天堂に限らず、ゲーム会社各社が権利関係の整備を進めている。Smashlogはユーザー発信型メディアとして人気を博してきただけに、運営会社だけでなくユーザーやコミュニティとしても痛手になりそうだ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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