『原神』iOS版におけるクリップボードを読み取る挙動について釈明。指定コードによるコンソール起動のためのもの
中国のゲーム開発会社miHoYoは9月30日、『原神』iOS版におけるクリップボード情報を自動的に読み取る挙動について、調査結果を発表した。同社の発表によると、同機能は『原神』の早期内部テスト版に搭載されていたコンソールを起動させるためのもの。正式版では削除予定だったが、完全には削除されていなかったために、クリップボードの読み取り機能がiOS版『原神』に残っていたそうだ。
現在App Storeに該当機能の削除申請を行っており、審査通過後にゲームをアップデートすると、クリップボードの情報を自動的に読み取る機能が完全に削除される。同社は、多大な迷惑をかけていたことをお詫びするとともに、読み取った情報に対する処理、保存、アップロードなどの操作は一切行っていないと説明している。
iOS14には、アプリがクリップボードへアクセスした際に通知する機能が搭載されている。『原神』iOS版における「クリップボード情報を自動的に読み取る挙動」は、同機能による通知が、アプリ起動時に表示されることで発覚したものだ。たとえば、プレイヤーがテキストを入力する際、手動でなくコピー&ペーストによってテキストを入力しようとするなら、ペーストの際にクリップボードへアクセスする必要がある。こういったタイミングでのクリップボードへのアクセスなら意図もはっきりしているが、通常アプリ起動時にクリップボードへアクセスする必要はないはずで、意図がはっきりしない。
クリップボード情報を自動的に読み取る挙動や、『原神』リリース日に話題となったアンチチートプログラムの挙動などが不安を呼び、そうした疑惑にちなんで、クリップボード情報を不正に取得しているのではないかという疑惑が一部で取り沙汰されていたわけだ。今回のmiHoYoの発表は、これらのクリップボードの挙動に対する疑惑に向けたものだ。
miHoYoの説明によると、まず『原神』の早期内部テスト版には、各システムをテストするためのコンソール機能が搭載されていた。このコンソール機能は、指定されたコードをゲーム内にコピーすると起動する仕組みになっており、クリップボード情報を自動的に読み取る機能を使って、コンソールの起動が行われていたという。また、クリップボード情報を自動的に読み取る機能は、正式版では削除予定だった。しかし、この機能が完全に削除されていなかったことで、iOS版『原神』の起動時にクリップボード情報を自動的に読み取る挙動が残っていたそうだ。
今後の対応としては、すでにApp Storeに向けて該当機能の削除申請を行っており、App Storeでの審査通過後、アプリのアップデートによってクリップボード情報を読み取る挙動は削除。同社は、読み取った情報に対する処理/保存/アップロードを行っておらず、運営チームの不手際により多大な迷惑をかけたことに対する謝罪が述べられている。また、先日の発表に続いて「あらゆるプレイヤーの個人情報や利益を損なう行為をいたしません」と改めて明言している。
『原神』リリース日の9月28日には、PC版においてアンチチートプログラムがゲーム起動時以外にも動作していることなどを起因に疑惑が持ち上がっていたが、9月29日には修正が行われた。今回の疑惑でも、調査報告の発表までは非常に速く、プレイヤーに対してしっかり事情の説明を行い、素早く対応を行っているとも考えられる。こうしたゲーム外に付随する声明が減ることを望みたい。