迫害された子と里親の育成ゲーム『My Child Lebensborn』Steam版配信開始。ノルウェーの歴史の闇を描く、辛い子育ての日々

East2west Gamesは9月23日、『My Child Lebensborn』Steam版の早期アクセス配信を開始した。『My Child Lebensborn』は、1951年のノルウェーを舞台にした、差別された子供たちの里親となる育成ADVゲームだ。

中国のゲームパブリッシャーEast2west Gamesは9月23日、『My Child Lebensborn』Steam版の早期アクセス配信を開始した。価格は1220円。ストアページは日本語化されていないが、ゲーム内は日本語に対応している。

『My Child Lebensborn』は、1951年のノルウェーを舞台にした、差別された子供たちの里親となる育成ADVゲームだ。第二次世界大戦の際、ノルウェーはドイツによって占領された。ノルウェーの人口が300万人ほどだったのに対して、やってきたドイツ人兵士は35万人以上。占領下のノルウェーで人々は厳しい生活を強いられ、ナチスのイデオロギーに反抗して仕事や命を失った人もいれば、ドイツ人たちに取り入り見返りを得た人もいたという。

また、ドイツ人兵士との間に子供を作ったノルウェー人女性もいた。彼女たちがドイツ人兵士と関係をもった理由はさまざまだが、戦争が終わった後、占領下で育まれた憎悪が彼女たちを売国奴として扱った。関係を持った女性5000人ほどが収容所に勾留され、女性たちは事実を隠すようになり、生まれた1万2000人の子供たちの多くが捨てられたそうだ。ナチス親衛隊による人口増加施策「レーベンスボルン」計画に因み、1万2000人の子供たちもレーベンスボルンと呼ばれ、憎悪の対象となっていった。

本作の主人公は、男の子のクラウス、あるいは女の子のカレンを養っている里親である。ドイツ人の父を持つ彼/彼女は、子供らしい素直さを持った普通の7歳。友達と遊び、学校への期待を胸に幸福な日々を送っていたのだが、学校へ通うようになると周囲から差別を受けるように。服を汚され、かばんを壊され、心を傷つけられるうちに、7歳の子供から笑顔が徐々に失われていく。

一方の主人公は、レーベンスボルンを養っているという理由で前の仕事を解雇されており、現在は一人で彼/彼女を育てながら近くの工場で働いているため、時間的な余裕も、金銭的な余裕もない。主人公が週6日の工場勤務から帰ってくると、学校で傷ついた彼/彼女が待っているので、食事を用意したり、お風呂にいれたりといった世話をしつつ、会話を重ねよう。会話中には選択肢が表示され、選んだ内容によって関係性や性格が変化するほか、子供の描く絵を含めた間接的な表現も用いて、彼/彼女の辛い心情が描かれていく。また、主人公が彼/彼女に向けて綴る日記を通して、レーベンスボルンを取り巻く事情も明かされる。レーベンスボルンの子供を養う里親の視点から、史実をベースにしたノルウェーの闇の歴史が体験できることが本作の特徴だろう。

本作を開発したSarepta Studioは、ノルウェーのインディーゲームスタジオだ。Steam版に先駆けて、2018年に同スタジオからスマートフォン版がリリースされており、スマートフォン版では世界で高評価を獲得している。『My Child Lebensborn』Steam版は、1220円で配信中。スマートフォン向けには、iOS版が370円、Android版が330円で配信されている。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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